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社説

電力不足 原発再開をあせるな 06月14日(火)

 関西電力がこの夏、すべての利用者に15%の節電をするよう要請した。電力不足は東日本のみならず中部から関西へと全国に広がり始めている。

 被災地から離れた関電の窮状には意外な感じもする。けれども福島第1原発事故の衝撃と、その後の政府と東京電力のあたふたした対応を見れば予想できた事態と言えるだろう。

 関電で電力が足りなくなるのは、定期点検で停止中の原発で再稼働の見通しが立たないためだ。もともと関電は原発への依存度が約5割と高く、火力や水力など代わりになる発電設備が少ない。しかも11基すべての原発が福井県内に集中し、4基が停止中。8月までにもう2基が止まる。

 原発は連続運転13カ月以内の定期点検が義務付けられている。再び動かすには原子力安全・保安院が認めたうえで、自治体の了解が必要になる。地元の説得にあたっては、政府がもっと助けてくれるだろうと甘く見ていたことも裏目に出たようだ。

 原発がある各自治体は、収拾の見通しが立たない事故の行方と、はっきりしない政府の対策に不安を募らせている。中部電力の浜岡原発に対しては首相が停止の要請をしているのに、ほかの原発はどうなのか、きちんとした説明がないからだ。不安は当然である。

 福井県は津波対策が不十分だとして再開に難色を示している。震災を踏まえて安全基準の見直しや再調査が行われ、対策が施されなければ認められない−。そう地元が考えるのはもっともである。政府と電力会社は地元の納得のいく安全対策を早く講じることだ。

 関電の電力不足は経済活動に大きな影響を及ぼしそうだ。震災のマイナスを西日本に事業を移したり、生産体制を強化したりすることで補おうとしている企業が多い。この対応が難しくなる。

 東日本も足を引っ張られる恐れがある。東電や中電は電力の不足分の融通先として関電をあてにしていた。

 ただ、この影響を地元自治体への“圧力”にするようなことは慎むべきである。この夏は節電の工夫と努力で乗り切るほかない。

 政府と電力会社は安全の基準や対策についてきちんと提示し、丁寧に説明することが先決だ。

 さらに原子力やエネルギー政策に対する国民的な論議を高めることが欠かせない。脱原発を目指して、具体的な長期の工程表をつくることまで視野に入れた論議を求めたい。

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