沖縄にルーツの一つを持ち、現在、香港で仕事をしている私には、この地に大きく期待したいことがあります。それは、沖縄が「オフショア金融特区」となり、投資の分野で日本の玄関口になることです。
同様の話は、大阪や東京でも政治家や識者などから提案されていますが、地理的、歴史的、政治的経済的な条件、そして人員の条件すべてを満たしているのは、沖縄だけだと思います。
地理的には島として隔離されていて管理しやすく、特別税制などの経験値も高いといえます。上海、台湾、韓国、香港といったアジア経済の要所がすべて2時間圏内にあり、温暖な気候や豊かな自然は世界中の人にとっても魅力です。
歴史的には外交上手で、各国と友好的に付き合える風土があります。華僑の方々も多く、米軍の存在もあって語学能力は他県よりも高いといえるでしょう。
政治的には、このたび中国人向けのマルチビザが沖縄へ行くことを条件に発行されるように、「権利」を主張できる立場もあります。
沖縄が税制や諸条件をクリアし、真のオフショア金融センターになれば、海外からの投資が増えて金融都市として繁栄することはもちろん、富裕層の移住や旅行者といった面でも大いに活気づくことでしょう。
特に中国や香港、台湾などの人々にとっては、中国である香港よりも、海外である沖縄のほうにオフショアとしての魅力を感じるはずで、莫大(ばくだい)な資金が流入する可能性もあります。日本の金融機関にとっても自国のオフショアを利用できるのは大きなメリットです。
さらに現実的なところでは(富裕層限定で)沖縄に移住してくる人が増えれば、不動産業や建設業、観光業、飲食業をはじめ産業全体が振興し、地元が活況を呈するのではないでしょうか。
「沈み行く日本船」を救うのは沖縄だと思います。
(仲村知之(なかむらともゆき)、香港在投資会社勤務)
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