松本剛明外相は28日午前、就任後初めて沖縄県を訪れ、県庁で仲井真弘多知事と会談した。外相は米軍普天間飛行場(同県宜野湾市)の移設問題について、同県名護市辺野古への移設に理解を求めたが、知事は「地元の理解を得られない移設案を実現するのは事実上不可能だ」と改めて県外移設を要求し、双方の主張はすれ違いに終わった。
辺野古移設を確認した昨年5月28日の日米合意から丸1年。松本外相は会談で、現行計画を前提に、6月下旬に米国で開く予定の外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で代替施設の詳細を決める考えを伝えた。
これに対し、仲井真知事は「(昨年5月の)日米共同発表を見直し県外移設に取り組むよう要請する」としたほか、米軍人らによる事件事故や米軍基地の騒音問題の抜本的な改善などに取り組むよう求めた。外相は28日午後、在沖縄米軍トップのケネス・グラック4軍調整官と意見交換する。
このほか、松本外相は知事に、沖縄を訪れる中国人個人観光客に3年の有効期間内なら何回でも日本に入国できる数次査証(マルチビザ)を7月から発給する方針を正式に伝えた。マルチビザは沖縄が要望していた。【西田進一郎、井本義親】
毎日新聞 2011年5月28日 東京夕刊