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テレ朝報道プロデューサーが勤務中に株「空売り」 インサイダー疑惑で処分

 東日本大震災後の慌ただしさがピークに達しようとしていた四月一日、テレビ朝日で突如通達が発表された。報道担当役員は一カ月の役員報酬一〇%減俸。以下、報道局長に報道センター長、さらには編集長など報道幹部が一斉に戒告処分を受けたというのだ。この処分でひときわ目に付いたのが、「スーパーJチャンネル」前プロデューサーの「降格」だった。

 テレ朝がひた隠すこの処分。実は件の前プロデューサーが勤務中にインサイダーまがいの不透明な株取引に手を染めていたことが各種取材で明らかになった。この前プロデューサーは番組在籍中の二〇〇九年四月に大手電機メーカーA社株を突如十二万株「空売り」。その後十数回にわたって売り買いを交錯させていた。今年二月、証券取引等監視委員会(SEC)から前プロデューサーに照会が入る。照会の事実は瞬く間にテレ朝幹部に伝わり、本人を査問したところ、事実を認めたという。その後、三月から出勤停止となり四月一日付で降格、総務部門に左遷されたという。

 テレ朝が箝口令を敷く理由は二つ。一つはSECが「嫌疑不十分」(関係者)で金融庁への告発を見送ったこと。もう一つは、テレ朝はNHK職員のインサイダー取引が発覚した際に、自社で「インサイダー規定」を策定していた。つまり「当社はNHKなんかとは違いますよ」といいながらの、今回の「インサイダー疑惑」によって、まさに「面目丸潰れ」になったためである。勤務時間中に「空売り」を繰り返すとは相当株取引に通じている者の行為。そんな人物が責任者を務める報道番組で、キャスターが高説を垂れたところで「語るに落ちる」(関係者)。この期に及んで「臭いものには蓋」の対応では、報道機関としての良識も問われよう。
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