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東日本大震災:仮設の食料支給6月10日まで 陸前高田

災害対策本部が用意した支給品の受け取りに訪れた仮設住宅に住む人たち=岩手県陸前高田市で2011年5月26日、武市公孝撮影
災害対策本部が用意した支給品の受け取りに訪れた仮設住宅に住む人たち=岩手県陸前高田市で2011年5月26日、武市公孝撮影

 東日本大震災で2170人の死者・行方不明者が出た岩手県陸前高田市は、震災発生から3カ月の6月10日で、仮設住宅入居者に対する食料物資の支給を打ち切ることを決めた。電気や水道の復旧が進み、義援金支給のめどもついたことなどから「支援がなくても生活できる環境が整った」と判断したという。“自立”を求められた入居者から「やむを得ない」との声が上がる一方、買い物の「足」がなく、今後を不安視する高齢者もいる。【岡大介、松本光央】

 市災害対策本部によると、市は人口約2万2000人のうち、避難所、仮設住宅、自宅避難者の計1万6000人にパンや飲料水などを支給している。

 災害救助法は仮設住宅入居者への物資支援は想定していない。市はこの原則に従い、4月に入居者への支援はしないとの方針を示したが、反発を受け撤回していた。

 その後、電気や水道の復旧が進んだほか、食料品などの仮設店舗ができ、巡回バスも走り始めた。義援金(住宅全壊50万円、半壊25万円など)の受給手続きも始まり、6月から支給するめどもついたため、市は支援がなくても生活できると判断。被害がない自宅に住みながら「炊事ができない」などの理由で支援を受けていた人へも、5月いっぱいで支給を打ち切ることにした。

 市の決定に市立竹駒小学校内の仮設住宅で暮らす菅野マサ子さん(73)は「いつまでも世話になれない。仕方がない」と話した。別の女性(77)は「車がなく、スーパーまで40分以上かけて歩かないと行けない。収入も年金しかなく、支給がないと困る」と嘆いた。

 岩手県復興局生活再建課によると、県内の仮設住宅入居者への対応は自治体で異なる。釜石市は仮設入居者に食料物資は支給せず、大船渡市も入居時に米を配給するのみ。一方、大槌町は入居後も支援を継続している。厚生労働省災害救助・救援対策室は「仮設住宅は自立に向けた施設なので、入居後の支援継続は想定していない。それでも支援を続けるかは、自治体が地域の実態を見て判断すること」とコメントしている。

毎日新聞 2011年5月26日 21時21分(最終更新 5月26日 21時34分)

 
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