松本市が、福島第1原発事故で避難を余儀なくされている福島県内の子どもを中長期にわたって市内へ受け入れることを検討していることが9日、分かった。政府の対応が後手に回る中、子どもを放射能汚染から守ることを最優先すべきだと判断。医師としてチェルノブイリ原発事故の汚染地で医療支援に当たった菅谷昭市長の指示で、危機管理室や市教委が検討している。
同市は既に、福島県の子ども100人ほどを夏休みに受け入れる計画を公表。市危機管理室によると、これとは別に、夏休みの後も半年から1年の単位で子どもを受け入れ、市内の学校に通ってもらうことを想定している。受け入れ可能人数や滞在場所、想定される通学先などは未定だ。
原発事故の発生から時間がたち、一部地域では放射性物質による土壌の汚染濃度がチェルノブイリに匹敵するとの専門家の指摘もある。
菅谷市長は8日に民主党の原発事故影響調査プロジェクトチームの総会で講演した際、日本が汚染地になった事実を受け入れ、「子どもだけは学校単位できれいな所へ移住させるモデル的なことをしたほうがいい」と提案。松本で引き受ける考えも示していた。地方自治体が支援を活発にすることで、子どもを守る国の施策づくりを促す考えもあるとみられる。