2011年4月19日 21時12分
内閣府が19日発表した3月の消費動向調査によると、消費者心理の動向を示す消費者態度指数(2人以上の世帯、季節調整値)は前月比2.6ポイント減の38.6となり、月次調査を開始した04年4月以降で、最大の落ち込み幅を記録。基調判断も前月の「ほぼ横ばい」から「弱い動きがみられる」へ4カ月ぶりに下方修正した。東日本大震災の影響で百貨店などでは客足が遠のいており、今回の調査は消費者心理の急激な冷え込みを裏付けた。【谷川貴史、谷多由】
「震災後は買い物をする気分にならず、ついつい勢いで買ってしまうこともなくなった」。震災から1カ月以上経過した19日、東京・銀座を訪れた主婦(52)はため息混じりに語った。大手百貨店各社の3月の売上高は軒並み1~2割減少。4月に入っても「初旬には持ち直し傾向が見えたが、やはり消費は弱い」(鈴木弘治・高島屋社長)という。
こうした消費者心理が、今回の消費動向調査の結果に表れた。同調査は全国の6720世帯(単身を含む)に「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断」の4項目について今後半年間の見通しを5段階で回答してもらい、消費者態度指数を算出。「50」が良しあしの目安とされる。
3月分は有効回答4904世帯のうち、約3分の2が震災翌日の12日以降に回収された。
態度指数が大幅な落ち込みとなったのは、「暮らし向き」など4項目の指数がすべて前月比マイナスとなったためだ。テレビや自動車などの購入意欲を示す「耐久消費財の買い時判断」は前月比3.8ポイント減の38.8に急落。「暮らし向き」も同3.3ポイント減の38.7に落ち込んだ。
ただ、震災後も生活必需品中心のスーパーマーケットは堅調で、イオンは4月に入り、食品の売り上げが全国的に前年比約2割増で推移。原発事故の影響などで水は倍以上の売れ行きで、食品以外でも「販売促進策を取れば、今後需要は戻る」(岡田元也・イオン社長)と期待を寄せる。
それでも消費動向調査では今年4~6月に、国内旅行を計画する世帯の割合が前期比3ポイント減の30.3%に低下。スポーツや自己啓発、コンサート、外食などで「支出を減らす」との回答が増加。消費の冷え込みは幅広い分野に及んでおり、回復の道のりは険しいと言えそうだ。