2011年4月19日 11時49分 更新:4月19日 12時42分
東日本大震災で猛威をふるった津波は、過去に東北地方を襲った「貞観(じょうがん)地震」(869年)、「明治三陸地震」(1896年)という二つのタイプの大地震で発生した津波が複合して巨大化したことが佐竹健治・東京大地震研究所教授らの研究チームの調査で分かった。津波を起こした断層の長さは約350キロに及ぶ。5月に開かれる日本地球惑星科学連合大会で発表する。
太平洋プレート(岩板)が沈み込む深部のプレート地震である貞観地震(深さ15~50キロ)では、津波による浸水が海岸から3~4キロ内陸まで達するなど被害が広範囲に及び、約1000人以上が水死したとされる。一方、比較的浅い日本海溝付近のプレート内で起きた明治三陸地震(深さ15キロ以内)では2万人以上が犠牲になった。
研究チームは、これら二つの地震での津波の被害状況などから津波をもたらした原因断層を推測。東日本大震災での海底水圧計などの変化と比べた結果、二つのタイプの地震が合わさった津波だったことが明らかになった。
今回の地震では、三陸沿岸から約40キロ(水深1000メートル)の水圧計が地震発生の6分後から海面の上昇を示し始め、同16分後には振幅が最大3メートルと大津波となった。また、海底も最大で5~6メートル隆起し、津波を起こした断層は長さが岩手-福島沖の約350キロ、幅約200キロで、ずれは最大30メートルに上っていることも分かった。【安味伸一】