2011年4月19日 10時29分 更新:4月19日 14時26分
東京電力は19日、福島第1原発2号機のトレンチ(トンネル)にある高濃度の放射性物質を含む汚染水について、同日午前10時8分から、集中廃棄物処理施設(集中環境施設)への移送を開始したと発表した。1日240トンから始め、その後ポンプを増設して、5月14日ごろまでに26日程度かけて計1万トンを移送する予定。
2号機のトレンチ、タービン建屋には約2万5000トンの高濃度の汚染水があり、海洋への漏えいや作業の遅れの原因となっている。東電によると、トレンチの立て坑に設置したポンプで汚染水をくみ上げ、集中廃棄物処理施設にある建物のうち、最も容量の大きい「プロセス主建屋」(東西71メートル、南北87メートル、地上26メートル、地下10メートル)の地下2階部分に、長さ800メートルの耐圧ホースで移送する。復水器への移送はすでに終了した。東電は、トレンチとタービン建屋の汚染水の放射性物質の濃度がほぼ同じで、水位の変動も似ていることから、トレンチの水の移送が計画通り進めば、同建屋の環境も改善すると見ている。
東電によると、18日午後11時、経済産業省に移送計画書を提出し、同省原子力安全・保安院が対策内容を確認したという。ホースは3、4号機のタービン建屋の中を通しているが、建屋外を通る部分については毎日1回放射線量を測定し、ホース外への汚染水の漏えいの有無を確認する。
東電によると、6月までに仏アレバ社などの技術協力を受けながら、敷地内で高濃度汚染水を低濃度に処理するシステムを構築。処理した中低濃度の水をメガフロートや仮設タンクなどに移送するという。
一方、保安院は▽施設の止水工事や、移送した汚染水の水位を地下水位より低く維持するなど施設からの汚染水の漏えい防止▽移送に際しての漏えい防止▽水位計による施設での貯蔵状況の監視--などをすると東電から報告を受けており、「(汚染水の施設への移送は)原子炉等規制法に基づき、放射線障害を防止するために必要な措置」と判断。今後の対応として、移送計画の確実な実施と、他の施設などへの漏えいを想定した対応策をあらかじめ検討することを東電に指示した。【大場あい、河内敏康】