2011年4月19日 2時38分 更新:4月19日 3時16分
政府は夏場の節電策の一環で、オフィスなどの室内温度を28度以下にするよう定めている規定を、緩和する方向で検討に入った。東京電力福島第1原発事故の影響などで、夏季に東電と、東北電力の管内で電力不足が深刻化することを受け、企業が節電策を実施しやすいよう側面から支援する。4月末にとりまとめる政府の電力需給対策に盛り込む方向で調整を進める。
職場の室内温度については、罰則はないものの、ビル管理法や労働安全衛生法の規則で「28度以下」にするよう定められている。政府はこの規定について、設定温度を28度から引き上げたり、オフィス環境によって柔軟に運用することが可能かどうか、関係機関との調整を進めている。
28度からの引き上げは、証券会社など、他に有効な節電策を打ち出しにくい業種で導入を検討するなど、あくまで非常時の一時的な措置と位置づける。
夏場の「クールビズ」は、冷房温度を28度まで引き上げても快適に過ごせることを前提に05年に導入された経緯がある。実際に28度より引き上げた場合には熱中症の発生が懸念されるため、政府は防止対策も併せてPRする。
室温を28度以下に定める規則は1972年に施行された。07年8月に、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の停止と猛暑で電力需給が逼迫(ひっぱく)し、東電が90年以来17年ぶりに大口需要先への電力供給を一時的に抑える措置をとった際、東電本店や経済産業省でエアコンの設定温度を30度に引き上げたことがある。【増田博樹、田所柳子】