東日本大震災:「復興債」を検討 政府・与党

2011年4月16日 2時30分

 政府・与党は15日、巨額が見込まれる東日本大震災の復興費用を賄うため、通常の国債と全く別建ての「復興債」を発行する方向で検討に入った。一般歳出の財源調達に使う赤字国債や建設国債と区別し管理。事後的な増税で早期に償還することを検討する。調達した資金の使途は、東北地方など被災地の経済・社会の再建に限り、市場にくすぶる財政悪化への懸念を抑えるとともに、復興債償還に不可欠な国民負担への理解を得たい考えだ。

 被災地の復興支援では、道路や港湾などインフラ再建や被災者への生活支援などで10兆円を超すコストが必要と見られ、政府は複数回にわたる補正予算を編成する方針だ。

 ただ、長期の景気低迷による税収落ち込みや社会保障費の膨張で先進国で最悪の財政状況の中、復興対策の財源確保に苦心している。復興費用を赤字国債発行で賄えば市場で財政への不信が高まり、長期金利の上昇などで震災で打撃を受けた日本経済をさらに圧迫しかねないためだ。

 そこで、政府は使途を復興対策に限り、早期の償還を前提にした「復興債」の発行を検討することにした。通常の赤字国債や建設国債は60年間かけて償還するのが原則だが、復興債は復興需要などで景気が回復すれば、遅滞なく増税し、その税収で償還。財政の一段の悪化に歯止めをかける仕組みにする。

 発行した復興債は、特別会計の中に別勘定を作って資金の出し入れを管理することなどを想定。事後的な増税で国に入った資金を復興とは無関係の社会保障や公共事業に流用させず、復興債の償還に確実に回すようにする。政府・与党は4兆円規模の1次補正予算では新規の国債発行を見送り、子ども手当見直しなどで財源を捻出する方針。しかし、本格的な復興対策を盛り込む2次以降の補正予算編成は財源のメドは立っておらず、復興債の具体化を急ぐ方針だ。【坂井隆之】

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