瀕死の大学にならないために  RSSを登録する

日本の地方大学が世界水準に達するためには何が必要であるかを考えるため、ベヴァリッジの大学経営論から見た大学論について柏野健三がお伝えします。この大学論は、日本で学ぼうとする若き人々のためのものです。

最新号をメルマガでお届けします    
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。
2011/04/29

作品は、裏切らない

読者の皆様、お元気ですか。3月31日に喜ばしいことがありました。

帝塚山大学出版会から『「英国の尊厳」先進的ビジョンとアプローチ 犯罪被害者に何ができるのか』

が上梓できました。小生が訳者代表となり、共訳者の才村眞里、杉本正、周防美智子、高田さやか氏のご協力を願い、

上梓にこぎつけました。特に、高田さやか氏には、面倒な図表の作成を担当していただきました。

小生の最も苦手とするパソコン技術を駆使しなければ、この書は世に出なかったかもしれません。

特に、翻訳の場合、翻訳権の取得という厄介な問題があります。本書の場合、英国政府の刊行物ですので、

それほど苦にはなりませんでした。

 かつて、ウェブ夫妻のEnglish Local Government(全10巻)の翻訳権交渉には、随分と苦労した思いでがあります。

版元のFran Cassの事務所を探し歩き、交渉に出向いたことがあります。今は、良い思い出となっています。

翻訳権を取得しないで、日本版を上梓した場合、面倒なことが起こりますので、注意が必要です。

そして、学問の世界で生き残るためには、不正な方法で研究しないことはもちろんですが、それなら研究結果を

世に出さなければよいという主張もあります。これは、おかしな論法で、研究者の末席を汚す者の

主張ではありません。とにかく、継続して成果を発表し続けることが必要です。

成果の公表の歴史においては様々な妬みや妨害、中傷はつきものですが、それらに屈することなく

正々堂々と成果を公表すべきです。小生の知る研究者がいわれないき、盗作の噂をまき散らされたことがありますが、

正義は世にあるものです。直ぐに、根拠なき迫害であることが判明しました。盗作の噂をまき散らした本人は、

れっきとした大学の教授ですが、乱心としか言いようのない行為であったことは誰の目にもあきらかです。

調査によれば、複雑な事情を抱えての告発騒ぎであったようで、追い詰められての所業で乱心としか言いようがありません。

業績が増えれば、増えるほど、妬みは深まりますが、屈することなく成果を公表してほしいものです。

例えば「マルクスと・・・」や「マックス・ウェバーの・・・」といったタイトルが一部同じであれば、

中身を精査することもなく、直ぐに盗作と騒ぎ立てる研究者もいないわけではありません。正義を貫き、我が国の

研究水準の向上と不正防止に取り組めば取り組むほど、乱心者が輩出することは止むをえないことかもしれません。

悪の塊は、団結しやすく、正義の塊は壊れやすいともいいますが、作品は裏切ることなく、真実を後の世に残します。

一度、手を汚したものは、その汚した手を浄めなければなりません。数年間、執筆を停止し、蟄居するのも一つの

方法です。

 さて、本題に戻りましょう。若い研究者がひたすら研究した成果を搾取する師匠が跡を絶ちません。

このような師匠から逃れる方法は、自らISBNを取得し、自らの名で書籍を上梓することです。ISBNの取得は

難しいことではありません。これまで多くの若い研究者に接してきましたが、生き残っている研究者は

善人サークルの人々と交流しているのが、特徴です。仲間を見れば、その人の真の姿を見ることができます。

これは、政治の世界では明確に理解できますが、研究者の世界でも人柄というものの共通性が、その仲間によって知る

ことができます。福祉国家の父と呼称されたウィリアム・ベヴァリッジは、「仕事はともにできるとしても、一緒に遊ぶ

ことはできない」という有名な言葉をのこしていますが、更に言えば、生育環境が大きく違った者同士が、晩年まで

交流できるかといえば、先ず無理ではないでしょうか。良い作品を残すためには、良い隣人を選ばねばなりません。

特に、50歳を過ぎると、虚飾が色あせてきます。これは、どうも避けられないことのようです。

良い隣人、良い作品を残すことに心がければ、晩年はHAPPYではないでしょうか。

悪知恵や恫喝、恐喝を繰り返して地位を獲得し、それを懸命に保持しようとしても、できるものではありません。

旧訳聖書の箴言にあります。「悪者のことに心を燃やすな 彼らと共にいることを望むな。悪者が心に思いめぐらすのは

暴力。唇が語るのは労苦を引き起こすこと。」(24:1-2)まさしく、この言葉は真実を語っているのではないでしょうか。

たとえ、一時的に有利に見えても、多くの者は善人であることから、悪人は孤立せざるをえないのです。

良い隣人、良い作品、私はいつもこのことを心掛けております。

では又。

最新号をメルマガでお届け
登録 解除

規約に同意して

登録した方には、まぐまぐの公式メルマガ(無料)をお届けします。

最近の記事

上へ戻る