「うはっ、これ、ぜーんぶのぉ?!」
あれから数日。の歓迎会と称した宴会に並ばれたたくさんの食事の山に、主役はキャッキャッと大はしゃぎで喜んでいる。
と言っても、周りの人間は殆どが成人を迎えた大人ばかりで、どちらかというと酒の方が多く並んでいて、食事は前菜程度しか出てきていない。
ただ単に、酒も飲んで良いと勘違いしているだけかと思ったが、の目は明らかに食べ物の方に向けられている。
「にく!これ、のなのぉ?ほんろに、ほんろに、のー!?」
「あぁ。」
の隣に座っている親父が、の頭をガシガシと撫でながら答える。
肉のどこにそこまで驚く要素があるのか分からないが、肉がとても嬉しいらしい。
親父が答えた同時に、はガツガツと肉を頬張って、もちゃもちゃと食べ始めた。
「おひゃじー!」
「どうした?」
「こふぇ、ふめー。」
「グラララッ!そりゃぁ、良かったな。」
食べながら喋っているせいで、口から肉がボロボロと落ちているが、あまりにも美味しそうに食べているの顔を見ると、それすらどうでも良く思えてきてしまう。
エドワードも同じ気持ちなのか、酒を飲みながらまたの頭を撫でてやった。
ガツガツ、
もちゃもちゃ、もちゃもちゃ、もちゃもちゃ、
ガツガツ、
もちゃもちゃ、もちゃもちゃ、もちゃもちゃ、
子供の割にはしっかりと食べ物を噛んで飲み込んでいるが、口の中にいっぱい食べ物を詰め込むせいか、殆どが皿の上に落ちたり床の上に落ちたりしている。
それでも必死に口を両手で押さえながら食べているの姿が、とても愛くるしくて、微笑ましい。
「ふめー、ふめー!」
「全部飲み込んでから喋れよい。」
「うぐぅー。」
マルコに無理矢理ナプキンで口のまわりを拭かれ、嫌々と首を横に振りながらまた口の中の物を落とす。
「ひわあわせぇー。」
「美味いだろ?俺が作ったんだぜ!」
「サッチ、すきぃー。」
満面の笑みを浮かべながら、また何かを口の中に詰め込んだ。
本当に美味しそうに料理を、は食べている。
子供とは皆こんなに美味しそうに料理を食べるものなのだろうか…
子供を相手にした経験がないマルコには分からないことだったが、美味しければそれで十分だと思った。
何より、こんなに料理をうまいと言いながら食べれば、コックも使われた食材も嬉しいに違いない。
幼さゆえの素直なに、マルコは酒を飲みながらこっそり笑う。
幸せ気分満喫
(いましんれも、くいなしっ!)(おま、この位で大げさだろ!?)
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