一通り泣いてすっきりしたのか、腫れぼったい瞳をこさえながらも、子供は甲板の上に力なく座り、ぐすんっと鼻を鳴らす。


、どーしよ。」


その言葉に、エドワードをある大きな決断をした。


。」
「ふぁい。」
「おめぇは、海賊になる覚悟があるか?」
「かいじょ…うん?」
「海賊ってぇのは、他者から何かを奪い、時には殺し、時には仲間のために命を捨てる奴等の事だ。」


海賊。
響きは良いが、所詮は賊だ。海軍に追われることもある。
海賊同士での殺し合いも頻繁にある。
奪った重み、奪われた重み。
全てを背負わなければならない。
そのためにも、覚悟がなければに海賊として家族に向かい入れる訳にはいかないのだ。


はねぇ、忍なの。忍は、さとのためにぃ、いーぱいヒト、ころしゅよ?ころしゃれるよ?いーぱい、しぬよぉ?」


昔は違ったのかもしれない。
しかし、今は世界各地で混沌としている。
そのため、忍は里の道具であり、駒であるのだと言いきかされた。
小さいからと言って、仲間内で何かしてくれるわけではない。
死ねば終わり。死体を運ばれて、英雄扱いされるわけでもなく、本当にそれで終わりなのだ。
それは、相手を殺した時にも言える。
敵なだけあって、身内よりももっと酷い扱いをする時だってある。
里の長である火影様の命令は絶対であり、火影様の命ならば、その命を厭うてはならない。
かなり殺伐とした主従関係であるが、ただ1つ、忍には与えられるものがある。
それは―――存在意義。
忍の殆どが、血に濡れた経験があり、最愛の人を戦で無くしているものも少なくはない。
だからこそ、火影様や里は忍達に存在意義を与える。
里のためにたくさんの人間を殺し、里のために命を捧げた。それを誇りに思え。
それが己自身の、唯一の存在意義である…と。


「忍はねぇ、たえて、しのぶんらってせんせーがいってたのぉ。れも、ぼく、全然できなかった…」

「いっぱい、いっぱい、ヒトころしぇないけど、せんせーにいっぱいおこられれるけろ…」

「こんなぼくれも、かいじょくできましゅかぁ?」


エドワードは優しく微笑み、の頭を撫でてやった。











まだ、半人前だけど
(それでも、がんばるよ)

  


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