「はねぇ、うっとねぇ、前はぁさとにー、住んでたのぉ。」
「そうか。で、今は何処に住んでんだ?」
「ここー!」
子供は甲板の上で、隊長3人とエドワードを目の前にしながら、のんびりと話す。
先程から1時間程経つが、幼いせいか話が横道にそれ、まだ名前と年齢…今の会話を入れると、住んでいる場所しか分かっていない。
5歳だと子供は言っていたが、それにしてはかなりしっかりとした会話が出来ている。
横道にそれるとは言うものの、最終的にはこちらが求めている答えも答える。
些か、5歳児にしては違和感というものを覚えざるおえない。
しかも、3人の威圧とエドワードの覇気に反応を示すことなく、子供はただヘラヘラと笑っているのだ。
豪胆なのか、それとも単なる鈍感なのか…
どちらにしろ、怪しいことには変わりがないため、隊長3人と船長であるエドワード自らが、子供の取り調べをしている次第である。
「おい、ガキ。おめぇは、どうして空から落ちてきた。」
「うっとねぇー、やさしぃおいちゃんに、たすけれもらったのぉ。」
「そうか。その優しいおじちゃんっていうのは、どこのどいつだ?」
「う〜ん?やさしぃおいちゃんは、やさしぃおいちゃんだよぉ。あっ、せんせーもやさしぃおいちゃんなのぉ!」
「そうなのか…で、おめぇはどうして助けらた?」
「うーんとねぇ、さとにいたんらけどー、わるぅーい人がいてぇ、あっ!だんごくいたい!!」
また横道にそれそうになる話を、エドワードが相槌を打ちながら根気強く聞いていく。
さすが、1600人もの手のかかる息子を1人で束ねている親父だなと、その場に居た全員が関心した。
自分達はといえば、子供の横道にそれる長話に苛立ちを覚え、間延びした声がさらにそれを増幅させる。
しかし、エドワードはそんな様子を微塵も感じさせない。
「そんでー、かんきんされたんだけどぉ、やさしぃおいちゃんが、きたのぉ。」
「ガキのくせに、随分物騒なことされてんだな。」
「でもねぇ、やさしぃおいちゃんがたすけてくれたのー。」
「んで、その里っていうのはどこにあるんだ?」
「うーん…ひみつ!」
その言葉に、一同は顔を見合わせ唖然とするしかなかった。
なんだ、こいつ…
(苛々、苛々、苛々、、)
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