菅直人首相は12日、首相官邸で開いた自然エネルギーに関する著名人との懇談会で、風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電比率を20年代早期に現在の約9%から20%に引き上げる目標に関連して「『自然エネルギー推進庁』でも作れば(あと)10年どころかもっと早い時期にやれる。省庁横断的な仕組みを急いで検討する」と述べ、新組織検討の意向を示した。
懇談会には自然エネルギーに関心を持つサッカー日本代表の岡田武史前監督やソフトバンクの孫正義社長らが出席。首相は、他の発電方式と比べて割安とされる原子力に関し、原発事故の補償や最終処分の経費が算入されていないとして「価格をもう1回計算し直す」と語った。また風力発電などが普及していない現状について「過去に採算性がないからだめだとなったが、行政がわざと潰した」と指摘。「分厚い(原発を巡る政官業の)構造があり、今変えられなかったら10年くらいは動かない」と述べ、首相在任中に自然エネルギー導入促進の成果を上げる意欲を示した。
懇談会では、ビデオメッセージで参加した音楽家の坂本龍一氏が「『菅おろし』を国民の大半はあきれて見ている」と首相にエールを送る場面もあった。【笈田直樹】
毎日新聞 2011年6月13日 11時17分(最終更新 6月13日 11時49分)