過積載の本当の責任は誰?
私自身の経験で、20年間の間に7〜8回の過積載で捕まっている。
しかし、その度に思いを強くしていたのは、
「何故、運転手の自分が実際に積んでいる重量が判らないのに、
警察から、進んで過積載をしたように供述させられサインを求められ、
挙句の果てに、点数を引かれ反則金を払わなければならないのか」?
つまり、私自身が重量オーバーを承知で積んで、それで捕まったという事がないのである。
確かに、積んでしまった後に重いのではないかと感じた事もあるが、
事前に承知してという事はないのである。
では、事前に承知で、全く過積載をした事がないかと言えば嘘になる。
あの、一番最初の3%の消費税導入の時は、
バブル期にあってトラック業界は地獄のような忙しさであった。
その時に、当時の所属の会社から無理を言われ過積載をした事はある。
しかし、検挙に至った事はない。
長距離のトラック輸送には、大きく分けて二通りある。
一つは、小口の荷物を積み合わせた混載便の、決まった支店営業所を回る路線便である。
宅急便がこれに当る。
そして、もう一つが私が走っているチャーター便である。
私自身の経験上での話をしたいので、この場合チャーター便に関してだけを申し上げる。
運転手の我々には、積む荷物に重量を書き込んでいない限り、その重量は判らない。
だから、積む前にどれくらいの重量なのか確認をするのだが、殆どの場合大丈夫だと言う返事になる。
が、それでも重量オーバーで捕まる事が何度もある。
私の経験上、過積載をするパターンは4通りあるのではないかと思っている。
1、我々にとっては、最も基本的なことでなのですが、実際に積める重量を知らないケース。
2、積ませる方も、積んだ運転手も重量が超えている事に気が付かないケース。
3、積ませる方は気が付いていながら、運転手に黙っているケース。
4、もう一つは、運転手も知っていながら、欲を出し割り増し分の運賃を期待して積むケース。
1、4T車の場合で説明すると、総重量が8t未満なので実際の数字で計算すると、以下のようになります。
例えば車検証に載っている重量が7950kの場合、7950k−空車時の重量という事になります。
7950k−空車の重量が5000kの場合=2950kとなり、4t積んだ場合は、1050kのオーバーになります。
これは、常識と思っていたのですが、中には運転手も知らない人がいるのにはビックリです。
トラックの後ろに積載重量を書いていますが、荷締め機などの備品っを積んでいるために、
実際はそれよりも、7〜800k少ないのが普通です。
大まかに言いますと、長距離仕様で4t平の場合で3200k以下、ウイングや箱車で2〜3tの間が目安です。
時々、積み込みに行くと「うちは4t車で頼んでいるのだから、4t積んでもらわなきゃ困る」と、
言い張る荷主がいます。
取引先の元受の運送会社は、もっと積極的に過積載の啓蒙活動をする必要があります。
特に、大手の名鉄運輸には自身が勉強する必要があります。
古い話ですが、名古屋のトラックステーションの近くの営業所の所長が、
4tしかないと言い張るんですから・・・・・・・
2、のケースは、皆さんよくご存知の○印○品と言う荷物を、委託倉庫から積んだ時である。
その製品種類の多さから、全く重量を知らない。
ジュース以外軽いものが多く、過積載になるとは考えていなかった。
が、検挙されたわけではないが、間違いなく重かった。
もちろん、この他にも本当に重量を知らないのか?そう感じる事はたくさんあった。
3、のケースは、倉庫のリフトマンが17〜18kgあると言っていたのだが、運ぶ数量が280個。
4T車には明らかに多すぎるのである。
で、仕事を斡旋してくれた水屋(正式には荷物取り扱い業)に電話をして確認するように依頼して、
正確な重量(17.7k)を量ってもらい、積む荷物を減らして貰い事なきを得た。
トラックを手配したその倉庫の担当者は、知らなかったと言っていたが・・・・
運転手が黙っていればそのまま運ばせ、気づいたら減らすと言うケースは、
その他にも、何度か経験がある。
違う例として、グロス重量とネット重量である。
解りやすい例として、ドラム缶を運ぶのに必ずと言って良いほど、中身の内容量(net)の重量を言ってくる。
が、空のドラム缶の重量がスチール製で、23,5kある。
一本200k入りドラムだと、223,5kがグロス(総重量)になり、明らかな違反になる。
多くのトラックの運転手は知らないことであるが、荷主や倉庫管理者が本当に知らないのだろうか?
まさか、とても信じられない話である。
4、については、過積載の経験はないが、二件積みの荷物があると、運賃もその分余分に貰えるので、
やはり、嬉しいものである。
過積載を承知でする者がいても、不思議ではないと思う。
しかし、実際には運転手からそのような話は、そんなに多くは聞いた事はないのだが・・・。
但し、大型車については、荷物により一個いくらとと言う荷物があり、重量を守っていては、
やっていくのが無理というケースがあるようで、それは過積載で扱うよりも、
規制緩和と過当競争の項目がふさわしいと考えましたので、そちらで扱います。
また、過積載で捕まったケースの殆どは、帰りの荷物が多い。
私の場合、一度を除き、後は全部帰りの荷物である。
多くの場合、帰りの荷物の斡旋は会社の取引先の水屋であるが、
その連絡は、直接運転手と相手の配車係と直接とることが多い。
自社の配車係を通すと、かなりの手間が生じて、荷物をとり損ねる事があるからである。
そのために、重量の確認も相手負かせという事になりがちで、
自社の運転手が捕まって、初めて過積載を知るという事になる。
それでも、懲罰は運転手の所属の運送会社になってしまう。
仮に、自社の配車係が連絡をとってその仕事を決めたとしても、
重量は大丈夫だと言われれば、それを信じるしかなく、
何故、運転手の所属している運送会社だけが、営業停止などの処分を受けるのか、全くわからない。
行政は、過積載は全て運転手とその所属の運送会社が、利益のためにしているとしか、
考えていないようであるが、とんでもない大間違いである。
一台ナンボのチャーター便で、余分に荷物を積ませたら、
どこが一番得をするのか、考えて欲しいものである。
運賃を節約できる出荷荷主か、それを依頼されている運輸倉庫ではないのか。
自社の運行管理者が、管理の行き届かない帰り便では、運転手が気が付かなければ、
過積載については防ぎようがないというのが現状であるし、また、このケースが一番多いと思う。
これをお読みの皆さん!
例えばとして、先ず身近な所からお考えください。
あなたの家庭の全品物の重量がお解かりですか? 引越しの時はあなたが荷主です。
失礼ですが、御自分の家庭内の生活用品の重量さえ、見当がつかないのではないでしょうか?
そして、引越しの経験のある方にお伺いします。
引越し屋さんが、梱包した家具、電化製品、茶碗、衣類などの、重量を量っているのを見たことがありますか?
家庭内の荷物は、殆どが100k以内の荷物ばかりです。
家庭内にあるヘルスメーターでも簡単に量れるのです。
私は、数十回の引越しを経験していますが、実重量を書いた伝票を見たことはありません。
また、梱包したダンボール類、紙類に重量を記載したものを見たことはありません。
伝票に書かれている重量は、換算重量(才数、立方)であって実重量ではありあません。
そのようなことで、運転手に重量が解ると思いますか?
もし、それで運転手が重量オーバーで捕まったとして、誰の責任ですか?
警察は、運転手に必ずああだ、こうだと言い、サインを強要します。
そして、運転手は点数を取られ、運転手の所属の会社の、そのトラックは営業停止を受けます。
この場合、荷主と引越しを請け負った運送会社の無頓着さと、安全に対する責任感のなさが、
最大の原因ではないでしょうか?
警察の方へ
我々運転手が、知らなかったと言うものを、
何故無理やり運転手が自ら過積載をしたような供述書にサインをさせるのか!
運転手の話を素直に聞き、確認すべきであってあろう。
そうでなければ、過積載の実態なんか判るはずはない。
我々運転手が、走り始めておかしいと気づいても、はっきりとした重量の確認が出来ない以上、
クレームのつけようがないのです。
それは、あなた方が重量を量らなければ過積載で反則切符を切れないのと同じなのです。
数年前に、過積載は運転手と運送会社にあり、一部には荷主の責任もあると発表があった。
そんなとんでもない発表なった原因は、現場の警察官の責任であると思う。
提案
荷物を出荷する側
(説明不足がありましたので、訂正加筆を行いました。)
つまり、積ませる方の荷主及び荷物の管理輸送を担当している運輸倉庫に対して、
実重量証明書を、伝票とともに発行させるべきである。
同時に、運ぶトラックに対しても、空車時のトラック重量を年一度か、半年に一度、
計るように義務付けることも大事であると思う。
これは、4t車の場合 8t未満ートラックの空車重量=事実上の積載量 と言う関係による。
こうする事により、重量証明書以外の荷物や、重量証明書があっても複数の荷物を積んでいた場合は、また、重量証明書が積める量を超えている場合、
明らかにそれを積んだ運転手に責任があるし、また、所属の運送会社にも責任が及ぶ。
しかし、重量証明書以内の数値で他に積み合わせがない時で、過積載があった場合はその証明書の発行先の、積ませた方が虚偽の証明書で積ませた事という事になる。
この場合、重量証明書と荷物が一致するかどうかの確認が必要になるので、今現在行われている個数は勿論、
荷物の形態、形状、等をハッキリさせる必要があるのは当然と言えます。
例を挙げて説明します。4t車の場合で、8t未満ー空車重量5t=2t900kで例を挙げます。
例1、
重量証明書が、2900k以内になっている場合で過積載で捕まったとしたら、これは明らかに重量証明書が偽りであった事を物語っています。
よって、騙して積ませた荷主か委託された倉庫の責任になります。
つまり、積ませた側の責任です。
例2、
重量証明書が4tあったと仮定しますと、この場合判って積んだ運転手と、積ませた者(荷主、委託倉庫、または運転手が所属する会社)の、複数が責任を負うことになります。
例3、
重量証明書が2t、そして別口で2tと積み合わせを運送会社がした場合は、それを積んだ運転手と会社に責任があります。
以上のように、重量証明書があると責任が明確になるという事です。
これは、大型車にも中型車にも応用できます。
もう一つ決定的な方法があります!
それは、過積載で違反したトラックを、その場から動かさないという事です。
今の現状は、重量を計量され違反がわかっても、目的地へ向かう事が出来ます。
そして、それまでに捕まる事があれば、一度捕まっているからと言って、違反の切符を見せれば、
後の道中は2度と捕まらないという事です。
本当の意味の安全を考えるなら、違反車両を動かさないと言うのが本当ではないでしょうか?
過積載による交通事故の危険は、一度捕まったからといって軽減されるものではありません。
実際に、過積載の状態で走るわけですから・・・・・
そしてそれは、運送会社にとっても、まして荷物を待っている会社にとっても大きな打撃になります。
当然、出荷した方も大変な事になります。
積み替えのための余分な経費と、翌日の時間に間に合わないための損失は、膨大に金額になると思います。
間違いなく、過積載に対する認識の薄い荷主、運送会社、倉庫業にとって、
大きな打撃と警鐘になることは間違いありません。
特に、工場のラインが止まる事態になった時などは、それこそ大変です。保障問題になる可能性があるからです。
我々運転手が渋々ながらサインをするのは、この点にあるのです。
明らかな出荷荷主や倉庫業者の悪意でない限り、運転手も自社や着荷主に迷惑がかかる事を恐れます。
同時に、自分の就職や今後の仕事に対する悪影響も考えます。
つまり、過積載が発覚したら大損をすると言う意識を、荷主を含めた関係者に強く認識させる事です。
過積載の責任を明確にしない限り、止む事はないと思う。
そして、何時までも我々運転手だけを犠牲にしないで欲しいと切実に願う。
ご意見を掲示板か、
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makoto_2741@yahoo.do.jp