イタリアで原子力発電所の是非を問う国民投票が始まりました。東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、国民投票で原発の是非が問われるのはイタリアが初めてで、反原発の機運が高まるなか、イタリア国民がどのような選択をするのか注目されます。
国民投票は、イタリア全土で12日午前8時(日本時間の午後3時)から一斉に始まりました。イタリアでは、チェルノブイリ原発の事故を受けて、1987年にも国民投票が行われて脱原発を決めましたが、ベルルスコーニ政権は、電力の自給率を改善するために方針を転換し、3年前、原発の新規建設計画を打ち出しました。今回の国民投票は、この計画の是非を問うもので、福島第一原発の事故のあと、国民投票で原発の是非が問われるのはイタリアが初めてです。福島の事故を受けて、イタリアでは反原発の機運が高まり、最近の世論調査では、原発に反対する人が70%前後に上っています。投票に来た人は「以前は原発を容認していましたが、福島の事故を見て考えを変えました」とか、「国民が直接自分の意思を示す国民投票はとても重要です」と話していました。ただ、国民投票の成立には有権者の過半数の参加が必要で、過去10年余りの間に、投票率が伸びず不成立に終わった国民投票は6回に上っているだけに、投票率も含め、イタリア国民がどのような選択をするのか注目されます。投票は13日まで2日間にわたって行われ、日本時間の13日午後10時に締め切られたあと、即日開票される予定です。