韓国軍:昨年12月にも訓練兵一人が脳髄膜炎で死亡

今月6日には尚武台でも発生し病院に搬送

韓国軍、伝染病発生を公開せず

 今年4月に韓国陸軍論山訓練所で、ノ訓練兵(19)が法定伝染病の脳髄膜炎により死亡した原因をめぐり、軍医療陣の誤診や遅すぎる対応が非難の的となっている中、昨年12月にも江原道洪川の第1野戦輸送教育隊で兵士一人が脳髄膜炎のため死亡していたことが、10日までに分かった。

 さらに今月6日には、全羅南道長城の尚武台でも脳髄膜炎患者が発生し、民間病院に搬送されていたことが確認された。

 これらの部隊は、新兵が基礎軍事訓練を受けたり、部隊配属前に兵科別の特技教育を受けたりする場所で、軍の訓練所での伝染病防疫システムに問題があるのではないか、という懸念が生じざるを得ない状況だ。また韓国軍当局は、ノ訓練兵の死を発表した当時、ノ訓練兵が死亡した前後にさらに二人の脳髄膜炎患者が発生していた事実を公開しなかった上、洪川と長城の教育隊での脳髄膜炎発生の事実も知らせず、韓国軍当局が軍内部での伝染病の実態を内密にしてきたのではないか、という疑惑が持ち上がっている。このため、本紙の取材で今回確認された事実以外にも、軍の訓練所などでこれまで伝染病がどれだけ発生していたのかをめぐり、疑惑が大きくなっている。

 国会国防委員会に所属するハンナラ党の金鶴松(キム・ハクソン)議員はこの日、洪川の第1野戦輸送教育隊で訓練を受けていたイ二等兵が、脳髄膜炎の治療をきちんと受けられず、昨年12月17日に死亡した事実を確認したと発表した。金議員によると、当時イ二等兵は訓練中に高熱を発し、医務隊で軍医官の診察を受けた結果、抗生剤投与などの治療が必要ということだった。しかし、教育隊の退所時期が迫っていたことから退院措置が取られたものの、倒れたため国軍洪川病院に搬送、その後治療中に死亡したという。

 金議員は「昨年12月の洪川野戦輸送教育隊に続き、4カ月後には論山訓練所で脳髄膜炎による死亡者が発生、さらに最近長城の尚武台でも脳髄膜炎患者が発生しているだけに、韓国軍の訓練所での伝染病防疫システムに関する全般的な点検が必要だ」と語った。

 また金議員は「脳髄膜炎は法定伝染病なだけに、患者と同じ部屋を使っていた別の訓練兵たちへの抗生剤投与などが必要だが、洪川野戦輸送教育隊の場合、こうした措置は取られなかったようだ。とりわけ、軍医官の所見が一部の指揮官によって歪められるという状況に対し、点検が必要だ」と語った。

崔慶韻(チェ・ギョンウン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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