高速自動車国道を考える。
2004-12-13 21:34:51
テーマ:ブログ
なぜわざわざ『高速自動車国道』と書いたのか…という点はさておき、12月11日の南日本新聞からこのような記事を引用。
九州自動車道の人吉-えびのインター間(22.3キロ)が11日午前11時、上下4車線で全面開通した。えびの市文化センターでは祝賀会があり、工事関係者や鹿児島、宮崎、熊本県など沿線自治体の首長ら160人が参加、同区間の施行命令から31年ぶりの完成を祝った。
日本道路公団によると、上り線の加久藤トンネル(2車線、約6.3キロ)が暫定対面通行として開通したのは1995年7月。下り線の同トンネル(同)は99年に着工し今年8月末、完成。対面通行は解消された。その後、4車線化の切り替え工事(8.4キロ)を進め同日終了した。
同区間の年平均交通量は1日約1万5000台で行楽シーズンは3万台を数える。今年8月まで対面通行だったこともあり、これまで中央線を越えて正面衝突するなど死亡事故2件を含む100件以上の事故があった。昨年は同トンネルを先頭に年間25回の渋滞も発生した。同公団は「4車線化で交通事故が防止でき、渋滞も8割ほど解消される」としている。
祝賀会では「地域間交流が盛んになる」「高速交通ネットワークの完成で時間短縮が実現できる」など喜びの声が上がった。参加者はその後、えびのインターでテープカットをして完成走行した。
九州自動車道全線が4車線化(一部6車線)したことで青森から鹿児島、宮崎までの日本縦断高速道路はすべて4車線以上になった。
首都圏の高速自動車国道しか知らない人には到底予想もつかないかもしれませんが…田舎に建設される高速自動車国道、というのは通行料収入が少ないわりに地形が悪い分、トンネルとか橋をたくさん建設しなければならない、ということで、要するに建設費用がかかるんです。また、土木技術も高度なものが求められるので建設にかかる時間も莫大なモノになる、というわけ。
つまり、高速自動車国道建設を進める上でどうしてもこういう難工事が必要な箇所というのは後回しにされがちなわけです。
しかし…高速自動車国道の建設目的は『都道府県をまたぐ地域の往来のスピードアップ』であるので、一部分だけが開業していてもあんまり意味がない…つまり、道路がつながっている、ということに意義があるわけなのです。
そこで日本道路公団がやったこと、それは「暫定開業」ってことで、とりあえず片側一車線だけ開業させてしまう、という方法なのです。そうすればとりあえずトンネルも橋も片側だけ完成した時点で開業できるから、工期が大幅に短縮される、という手法なのでした。最近完成した高速自動車国道の大半が暫定開業という手法をとっているようなので…ま、やっぱり「とりあえず、でいいから完成させる」ということに意義があるのでしょう。
ところで…なぜ『高速自動車国道』という表現にこだわっているか、という話。
一般的な表現として使われている『高速道路』。これは最高速度の違いによって2種類に分類される、ということはわりと有名な話ではないでしょうか。
『高速道路』=『高速自動車国道』+『自動車専用道路』
『自動車専用道路』というのは主に『都市間をつなぐ』という目的で建設されていて、法定速度は一般道路と同じ60Km/hです(標識で例えば80Km/hって指定されている場合は標識に従う)。
あくまで普通自動車の場合に限定して…『高速自動車国道』の法定速度は100Km/h。
だから、千葉県方面では注意が必要ですよね。首都高速の湾岸線と東関東自動車道ってスルーですよねぇ。だから、成田空港方面から仮に120Km/hで走行していたとすると、東関東自動車道に設置されてるオービスにかかると20Km/hオーバーで青キップですけど、湾岸線(制限速度80Km/h)に入ってからオービスにかかったら40Km/hオーバーで一発免停、ということになるのです…この被害に遭ったのが所ジョージですね。
ところで…『高速自動車国道』の重要な定義がもうひとつ。
『中央分離帯によって対面する交通がしっかりと区切られて、同一方向の通行帯が2車線以上あること』というモノ。これは何を意味するか…?
つまり、上の記事でとりあげたような『片側一車線の暫定開業区間』というのは、『高速自動車国道』ではなく『一般道路』なのです。当然、法定速度は60Km/h(標識で70Km/hとか指定されてたら標識に従う)というわけ。つまり、12月10日まで『九州自動車道 えびの~人吉間』というのは一般道路と一緒だったわけですね。
暫定開業区間ってやっぱり事故が多いみたいですね。例えば居眠り運転のトラックがカーブに気付かず道路の中央に突進してきた場合…ちゃんと中央分離帯のある高速自動車国道だったらたぶん分離帯に衝突する、という単独事故で済むでしょう。しかし、暫定開業区間でコレが起こると対向車線のクルマが巻き込まれるリスクが非常に高い、というワケなのです。こないだ岐阜かどっかでこういう事故が起こりましたよね、暫定開業区間ってせいぜいゴム製ポールで区切られてるだけですから、簡単に対向車線にはみ出せてしまうのです。
ま、自分がこの先、唯一使う可能性の高そうな九州自動車道からは12月11日を以って暫定開業区間は消滅したわけですからね、こういうリスクからは解放された、と言っても過言ではないのですが…まぁでも九州に限らず全国の至る所で高速道路の建設は絶え間なく続いてますからね…暫定開業区間に出くわす可能性もないことはないでしょうから、その際には対向車の動向に細心の注意を払いましょう、というわけです。
ちなみに…九州の高速道路網というのは至って単純。基本的に鉄道のルートと一緒ですからね。
現在、すでに全線開業している路線はこんな感じ。(一部、暫定開業区間を含む)
○九州自動車道 門司~鹿児島
⇒鹿児島本線(門司港~八代)+肥薩線(八代~(吉松)~隼人)+日豊本線(隼人~鹿児島中央)に近似
○長崎自動車道 鳥栖~長崎
⇒長崎本線(鳥栖~長崎)に近似
○大分自動車道 鳥栖~大分米良
⇒鹿児島本線(鳥栖~久留米)+久大本線(久留米~大分)に近似
○宮崎自動車道 えびの~宮崎
⇒吉都線(吉松~都城)+日豊本線(都城~宮崎)に近似
また、今後建設予定のモノとして…
○南九州自動車道 鹿児島西~八代南
⇒鹿児島本線(鹿児島中央~川内)+肥薩おれんじ鉄道(川内~八代)に近似
※鹿児島西~市来・日奈久~八代南はすでに開業済。ちなみに今回の画像は南九州自動車道の日奈久IC付近です。
○東九州自動車道 加治木~小倉
⇒日豊本線(隼人~(宮崎)~(大分)~西小倉)に近似
※いろんなところでちょっとずつ開業してます。
○九州横断自動車道延岡線 嘉島(熊本市の南部)~延岡
⇒豊肥本線(熊本~立野)+南阿蘇鉄道(立野~高森)+高千穂鉄道(高千穂~延岡)に近似。ちなみに高森~高千穂は国鉄時代には鉄道の建設計画があったけど、建設中止になった…ま、とても人が乗るような区間ではないけれど。
○西九州自動車道 福重(福岡市西区)~(佐世保みなと)~武雄(佐賀県)
⇒筑肥線(姪浜~唐津)+唐津線(唐津~伊万里)+松浦鉄道(伊万里~佐世保)+佐世保線(佐世保~肥前山口)に近似。
※ここもちょこちょこと開業している区間アリ。
こうやって見ると大抵の鉄道路線に並行して高速道路が建設されている、ということがわかるのです。ま、九州の場合、鉄道もないような場所に人は住んでいない、と言っても過言ではないので、都道府県をまたぐ地域の移動で必要な道路の建設されるべき場所なんて限定されて当然なのかもしれませんが。
…最後に、なぜ『高速自動車国道』について今日考えたのか?
理由は簡単。今日は運転免許の取得時講習の第1回。高速道路についての学科の講義を受けてきたから、というワケ。講義中が暇だったからブログに何を書こうか、って考え続けてた結果こうなった、という感じなのでした。
運転免許完全復活まであと取得時講習6時間。
次回は16日。危険予測ディスカッション、ということで技能試験以来1週間ぶりの運転なのです。
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