2011年6月12日9時5分
1940〜60年代にイネなどの収穫量を倍増させた「緑の革命」のような品種改良が、数千〜1万年前に起きていた可能性があることを神戸大、名古屋大どが、日本で栽培されているジャポニカ米の遺伝子解析で明らかにした。丈が低く風雨でも倒れにくいイネを選んで栽培し品種改良を進めていたらしい。米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
神戸大食資源教育研究センターの山崎将紀助教らはジャポニカ米、インディカ米、野生のイネの遺伝子を比較。すると、インディカ米と野生のイネにある「SD1―GR」という遺伝子が、ジャポニカ米では別のタイプに換わっていた。
この遺伝子は草丈を決める働きがあり、ジャポニカ米は低くなったらしい。この品種改良は1万年ほど前の中国・長江流域で起き、その後、日本に伝わって広まったが、長江流域ではなぜか失われた。山崎助教は「台風でも倒れなかった低いイネの種籾(たねもみ)をまいて栽培を繰り返すうちに遺伝子が固定されたのでは」と話す。(東山正宜)