女優の樹木希林(68)が11日、東京・新宿バルト9で行われた映画「奇跡」(是枝裕和監督)の初日舞台あいさつに出席した。夫のロック歌手・内田裕也(71)が5月13日、交際していた女性に対する強要未遂などで逮捕(先月31日に起訴猶予処分)されたが、報道陣からの内田に関する質問には無言。しかし、壇上では「こんな世の中、大人が自覚をもたないと…」と、夫への苦言とも受け取れる“希林節”をさく裂させた。
舞台あいさつに登壇した樹木は、なぜかリュックサックをしょって登場した。「こんなご時世ですから、いつでも逃げられるようにね」。東日本大震災の発生からちょうど3か月。冗談とも本音とも取れる発言に、会場からは笑いが漏れた。
映画「奇跡」は、兄弟お笑いコンビ「まえだまえだ」の前田航基(12)、旺志郎(10)が主演。九州新幹線を舞台に家族の絆が描かれる作品だ。祖母役の樹木は「地震が起こって、原発もこんなことで本当に大丈夫なのか、と…子供の姿を見るにつけ大人が自覚しないとダメだな、と思っています」と真剣な表情で語った。夫・内田の逮捕直後、自宅で会見した際に「世間にさらしてくれてありがたい」と話していたが、いい年をして騒動を起こし、娘や孫と断絶状態の夫への皮肉がこめられているようだった。
子役が主役のため、クランクイン前、是枝監督に「子供の映画だから大人は背景。さらっと撮ってください」と頭を下げたそうだ。「私みたいなくどい役者はさらっとでいい。本木(雅弘)さんが『今までで一番いい』と言ってくれた」と、自然体の演技を娘婿から絶賛されたことも明かした。
「まえだまえだ」とも軽妙な掛け合いを披露。「この子たち、ずいぶんうるさいんです。『漫才でも間が大事なのよ』とアドバイスしました」と樹木が言うと、航基は「子供なんやからはしゃがんかったらストレスたまるわ」と反撃。「大人よりしっかりしてるわ」とベテラン女優が脱帽する場面もみられた。
内田は前日(10日)、成田空港から韓国・済州島でのチャリティーコンサートに出発。その際、数日前に妻と会い、謝罪したことを明かした。降壇時、「内田さんと会ったんですか」と報道陣から質問が飛んだものの、無言で会釈をして退場。最後まで樹木の独壇場だった。
◆「奇跡」フランス、韓国進出も 〇…この日、同作がフランスや韓国など世界13か国・地域で公開されることが発表された。海外で是枝監督の人気は高く、04年、仏の「カンヌ国際映画祭」で柳楽優弥が主演男優賞を獲得した「誰も知らない」は、16か国で公開されている。この朗報に旺志郎は「いっぱい見てくれたらうれしい」と、喜びを爆発させていた。
◆内田裕也 済州島で「ロックンロール」 〇…済州島に滞在中の内田はこの日、自身のツイッターを逮捕前の5月9日以来、33日ぶりに更新した。「大変お騒がせしました、新たな気持ちで今日から再出発! 済州島で白竜くんとチャリティーコンサートまじにガンバリマス! ヨロシク!Rock’n Roll!」とツイート。チャリティーコンサートは13日まで開催される。
[2011/6/12-06:01 スポーツ報知]