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志津川湾の底見えた 南三陸の遠藤さんが強烈な引き波撮影
 | 上は引き波で荒島(中央)まで海底がほとんど露出しかけている志津川湾(3月11日午後5時25分ごろ、遠藤さん撮影)。下は現在の志津川湾 |
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宮城県南三陸町の志津川湾で、津波の強烈な引き波により海底が露出した様子を、同町志津川の水産卸・養殖業遠藤幸宏さん(46)が撮影していた。 遠藤さんは3月11日、JR志津川駅近くの病院で受診中、地震に見舞われた。午後3時ごろ、海沿いにある自宅に戻り、コンパクトカメラを持って外に出て湾の様子を眺めていた。 遠藤さんによると、志津川湾は午後3時20分ごろ、やや引き波になった直後、海面が上昇し津波の第1波が到来。公立志津川病院やショッピングセンターのある町中心部に向かった波は陸に上がり、中心部一帯が水しぶきとも土煙ともつかない白い煙に包まれた。 さらに第2波も押し寄せ、その後、引き波となった。「ごおーっと音を立て、すごい速さで車も家も何もかも沖の方へ流していった」という。自宅は1階部分が波に打ち抜かれたが、周辺一帯は比較的高台にあったため、奇跡的に浸水程度の被害で済んだ。 第2波の引き波の後、志津川湾の海底が現れた。約1.5キロ先の沖合にある荒島まで、歩いて渡れそうなほどだった。 遠藤さんは「湾の底を見たのは、もちろん初めて。写真を見るたびに、すさまじい津波だったとあらためて感じる」と話している。
◎最大30メートルの海面差
今村文彦東北大大学院災害制御研究センター教授(津波工学)の話 事後調査では実態をつかめない引き波の程度を示す貴重な写真だ。写っている志津川湾一帯の水深は10〜20メートル。志津川地区の押し波は15メートル程度の高さがあったことが確認されており、海底が露出したとすれば最大30メートル程度の海面差が生じたとみられる。湾内は、固有の海面水位の振動と津波が共振しやすく、第1波より第2波以降の方が大きかった可能性もある。
2011年06月12日日曜日
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