東日本大震災から11日で3か月になるのに合わせ、NHKが被災者およそ500人にアンケートを行ったところ、30代以下の4人に1人が「将来の生活基盤を震災前と別の市町村に置きたい」と回答し、若い世代ほど地元を離れようとする傾向が強いことが分かりました。
NHKは、震災の被害が特に大きかった岩手・宮城・福島の各県で被災した人のうち、避難所や仮設住宅などで暮らす合わせて489人に、今月、聞き取りでアンケートを行いました。この中で、まず生計の見通してについて尋ねたところ、およそ半数が「今も立っていない」と回答しました。「今も立っていない」と回答した人に、今後どのように生計のめどを立てようと考えているか尋ねたところ、「別の地域で新たな職を探す」と答えた人は▽50代は9%でしたが、年代が下がるにつれて増加し、▽40代は15%、▽30代以下では33%に上りました。さらに「将来生活基盤をどこに置こうと考えていますか」と尋ねたところ、「震災前と別の市町村」と回答した人は、▽50代は8%、▽40代は10%だったのに対し▽30代以下では4人に1人に当たる25%と、いずれも若い世代ほど地元を離れようとする傾向が強いことが分かりました。こうした傾向は、特に原発事故の影響を受けて別の自治体へ避難している人が多い福島県で強くなっています。このうち神奈川県に避難している福島県の26歳の保育士の女性は「子どもの成長を考えると、県外への永住も覚悟しなければならない」と述べています。また、宮城県女川町の62歳の男性は「何とか若い世代の流出を食い止めなければ、老人だけの町になってしまう」と、若い世代のために雇用の確保が必要だと訴えています。これについて、地域政策に詳しい早稲田大学の宮口*とし廸教授は「被災地から若い世代がある程度流出することは避けられず、どのような復興や街づくりを目指すのか、行政と住民が対話を深める必要がある。若い世代の雇用問題は、1つの自治体だけで対応できるものではないので、被害が比較的少ない内陸の自治体とも広域で連携して対策を取るべきだ」と指摘しています。(*「とし」は、にんべんに、つくりが「同」)