久々にグランパスらしい攻撃サッカーを楽しめた。ほとんどの選手が2週間ぶりの試合で、リフレッシュできたことが要因の1つ。故障者が戻ってきたことも1つ。そして何より、全員が攻撃の意識を強く持っていたことが、スコア以上に安心して見ていられるゲームにしたと言えるだろう。
全体を通じ、前線中央のケネディと、中盤の底にいるダニルソンとの間で玉田、小川、藤本が流動的に動いて、相手がマークしづらい状況をつくった。前半25分には、相手陣左サイドで小川から玉田へとボールが渡ったときに阿部、藤本が絡むプレーがあった。グランパスの攻撃の1つのかたちは、闘莉王からのロングボールをケネディが受けるところが起点になるのだが、それ以外にいくつものパターンが飛び出し、得点のにおいを感じた。
小川の、マイボールになった瞬間に中央から右あるいは左サイドへと斜めに走る動きも光った。後半開始後の10分間では、玉田が何度か高いレベルの個人技を披露。同12分すぎのセットプレーでは、キッカーがボールを置くのとほぼ同時に中村、田中隼が動きだすシーンも。何度も精度の高いクロスボールを上げていた阿部から、決勝点が生まれたのも、いわば必然だった。 (平野孝・元日本代表、グランパスMF)
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