東京電力は11日、福島第1原発にたまっている高濃度の放射能汚染水を処理するためのコンピュータープログラムに不具合が見つかったと発表した。水漏れが見つかった配管の修理も急いでいる。汚染水の本格浄化は15日を目指していたが、17~18日にずれ込む見通しだ。
不具合が見つかったのは、放射性セシウムを吸着する装置(米キュリオン社製)に汚染水をくみ上げるポンプの作動プログラム。また、水漏れが見つかった場所は、疑い部分を含め配管の継ぎ目などで48カ所あり、東電はエポキシ樹脂で固め始めた。いずれも修復後、低濃度の汚染水を流す試運転を始める。
高濃度汚染水は、3号機で増加傾向にあり、貯留しているタービン建屋とトレンチ(立て坑)の上端まで約18センチのところまで水面が達している。1日あたり約2センチ上昇中で、あと9日ほどでいっぱいになるため、11日午後から集中廃棄物処理建屋への移送を再開した。
一方、2号機では原子炉建屋内の空気を浄化して作業環境を改善するため、放射性物質を吸着するフィルター付きの換気装置の運転を始めた。空気中の放射性物質濃度の低下が確認されれば、二重扉を開放。99.9%という湿度を下げた後、作業員が建屋に入って原子炉水位計の調整や、水素爆発を防ぐための窒素注入に着手する。
開放の際、微量の放射性物質を含む空気が外部に放出されるため、東電は事前に自治体に説明し、経済産業省原子力安全・保安院の了承を得る。【酒造唯、野田武、関雄輔】
毎日新聞 2011年6月11日 20時11分(最終更新 6月12日 0時39分)