未希さんのこと忘れないで　防災無線職員にささげる歌

　宮城県南三陸町の防災庁舎から防災無線で町民に避難を呼び掛け続け津波の犠牲になった町職員遠藤未希さん（２４）にささげる歌が、震災発生から３カ月となる１１日、避難所となっている町内のホテルで披露された。

　同県出身の歌手水戸真奈美さん（２８）が自ら作詞したバラードで、「未希さんに救われた人は多い。彼女の勇気ある行動を忘れないでほしい」と気持ちを込める。

　歌は「ＷＥＤＤＩＮＧ　ＲＯＡＤ」。花嫁の立場で結婚相手や両親への思いがつづられている。

　未希さんは既に入籍していたが、９月に結婚式をする予定だった。水戸さんが南三陸町を訪れた先月、未希さんの父親の知人から「歌を贈ってほしい人がいる」と頼まれ、遺影を前に歌った。

　もともと未希さんのためにつくったわけではない。しかし、歌いながら「この曲は未希さんのための曲なんだと感じた」という。

　「こんなにわがままな私だけどいつも見捨てず支えてくれた父…いつでも味方でいてくれた母…二人の娘であること感謝します…ありがとう」

　未希さんの母美恵子さん（５３）は「たくさんの人が娘のことを思ってくれるのはうれしい」と話すが、娘を亡くした悲しみは癒えない。最後に未希さんに会ったのは３月１０日。ウエディングドレスを引き取るため、１１日に実家を訪れる約束をした。