事件【主張】広がる電力不足 原発再稼働で危機回避を2011.6.12 02:51

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【主張】
広がる電力不足 原発再稼働で危機回避を

2011.6.12 02:51

 関西電力が管内の全ての利用者を対象に、夏場の15%節電を要請すると発表した。定期検査を終えた同社の原子力発電所が再稼働できず、電力不足に陥るためだ。

 同じ15%節電を求める東京電力や東北電力と違うのは要請に強制力がないことだが、九州電力も同じ事情から、節電要請の検討に入っている。このままでは電力不足が全国に波及し、深刻な危機を招きかねない。

 再稼働できないのは、東京電力福島第1原発事故にともない、原発の安全性に疑念を抱く地元の了解が得られないからだが、菅直人首相が明確な根拠を示さないまま中部電力の浜岡原発を停止させたことも不信の原因になっている。首相は海江田万里経済産業相とともに自ら地元を説得して回り、電力危機を回避する責務がある。

 東電と東北電管内では、節電に応じない大口需要家に強制使用制限を発動することもあり、自動車や電機大手では当初予定された25%削減に踏み込む企業もある。

 こうした東日本の電力不足に対応して、関電管内に生産拠点を移した企業も多く、関電の節電要請による経済活動への影響は避けられない。大阪府の橋下徹知事は「根拠のない15%節電には協力しない」と反発している。

 今後さらに深刻化しそうなのが原発の再稼働問題である。

 原発は13カ月連続運転し、その後、3カ月程度の検査に入るルールが定められている。全国には関電保有の11基を含めて54基の原発があるが、このうち計35基が現時点で運転を停止している。

 この中には、東日本大震災で停止したままの福島第1や首相要請で停止した浜岡なども含まれるが、検査を終えながら地元了解が得られず再稼働できないままになっている原発も少なくない。

 原発の再稼働に地元の同意は法律上は必要ないが、電力会社は地元市町村や県と安全協定を結んでおり、実質的に地元が関与している。地元との協議を電力会社に丸投げしてきた国の責任は重い。

 現状の「検査ルール」でいけば、来夏までに国内すべての原発が止まる。原発は日本の電力需要の約3割を賄っており、全面停止となった場合の日本経済への影響は計り知れない。震災復興にブレーキをかけ、国際的な産業競争力を失いかねぬ事態は、何としても回避すべきだ。

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