きょうのコラム「時鐘」 2011年6月12日

 「TSUNAMI」(津波)と「SATOYAMA」(里山)は、ローマ字表記のままで世界に通用する日本語である

「TSUNAMI」は、今震災で従来以上の怖いイメージを世界に拡散させた。一方、人間と共生する身近な自然を意味する「SATOYAMA」は、世界農業遺産に能登と佐渡が登録されることになって、こちらはうれしい再認識となる

第三者に指摘されて、初めて自分の良さに気づくことがある。裏返せば、外から指摘されるまで足元の財産を放置していたことにもなる。過疎に悩む能登の現状と重ねてみると「SATOYAMA」の言う、美し過ぎる表現には、面映ゆい気がしないでもない

たまたま富山県が呉羽山断層帯に関する地震被害想定をだした。美しい話に水を差すのではないが「TSUNAMI」が「SATOYAMA」を襲う可能性もないわけではない。こんなご時世だ。美しい話とつらい話を同時にしておくのも大切だろう

足元を掘り進むのがふるさと学習だ。と同時に、遠くを見て、無関係に見えるもの同士を自分たちの胸元で結びつける学習なのかと思ったりする。