2011年6月11日19時7分
大阪市が、「ホワイティうめだ」(同市北区)など五つの地下街を運営する第三セクター「大阪地下街株式会社」の株式上場を検討していることが分かった。株の売却益で今後の施設改修に必要な数百億円規模の資金確保を図るほか、経営ノウハウを生かして中国などの地下街開発に参入する成長戦略も描いている。
地下街会社は大阪市が1956年に設立。翌57年に国内初の本格的な地下街「ナンバ地下センター(現NAMBAなんなん)」を開業し、現在は市中心部で五つの地下街を運営する。市が50.3%の株を保有し、関西の私鉄各社や百貨店なども出資している。
市や同社が株式上場を検討する背景には、今後20年間で空調設備などの施設改修に数百億円の費用が見込まれることがある。財政難の市が支援するのは困難で、有力な資金調達の手段として上場が浮上した。ただ、施設改修は収益増に直接結びつかず、資金が必要な地下街の拡張も難しい。同社幹部は「成長戦略がなければ、上場に向けた市場の理解は得られない」という。
そこで同社が目を付けたのが、地下街の経営のノウハウを生かした海外進出の道だ。今年5月には、同社幹部が、佐藤茂雄・大阪商工会議所会頭や大阪市幹部らと北京を訪問。総延長3.5キロの地下街計画がある繁華街・王府井(ワンフーチン)付近を視察した。同社や市側が、北京市関係者らに大阪の地下街の概要や利便性を説明した。中国側からは「建設時に周辺の地権者とどう交渉するのか」「テナントを入れ替える方法は」といった質問も出たという。