福島原発事故 3月16日
福島原発事故 3月16日
放射能漏れ関東に拡散 北風で通常の100倍も
(2011/03/16 01:10)
東京・渋谷で、通常より高い放射線量の0・6マイクロシーベルトを検出したサーベイメーター=15日夕
東日本大震災に伴う東京電力の福島第1原発事故を受けて、関東各地で15日、通常より高い放射線量が観測された。北風が強かった午前中は、原発の南側にある栃木や茨城、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川の各都県で場所によっては、通常の100倍や20倍という高い数値を記録。東風が出た午後は、西側にある福島県郡山市で午前の130倍以上となり、新潟県南魚沼市では通常の約10倍に上昇した。
各地の高い数値は、放射性物質が風に乗って拡散した結果とみられる。いずれも人の健康に影響する水準ではないが、都道府県に観測を委託している文部科学省は15日、監視強化のため観測回数をできるだけ増やすよう要請。測定結果をまとめ、1日2回公表することを決めた。
原発事故で放射性物質が放出されると「放射性雲」が発生。風に乗って流れる雲が上空を通過する際に、放射線量が上昇するとされる。
福島第1原発では、原子炉格納容器の圧力を下げるため放射性物質を含む蒸気を放出。3号機付近では15日午前、毎時400ミリシーベルト(1ミリシーベルトは千マイクロシーベルト)の放射線量を検出。14日に最高値だった3130マイクロシーベルトに比べると桁違いに高い数値が観測された。
文科省が15日公表した14日午後5時〜15日午後5時の測定結果によると、福島に隣接する栃木では、最大で毎時1・318マイクロシーベルトを観測した。過去の平常値は最大でも0・067マイクロシーベルトで、20倍に迫る数値となった。
東京では0・809マイクロシーベルトを記録。大気中からは原発で生まれる放射性物質であるヨウ素、セシウムを検出した。このほか群馬は0・562マイクロシーベルト、埼玉は1・222マイクロシーベルト、神奈川は0・182マイクロシーベルト、千葉も0・313マイクロシーベルトと、通常の2〜20倍程度だった。
一方、福島県郡山市では15日午前は0・05〜0・06マイクロシーベルトで推移していたが、風向きが東風に変化すると数値が急上昇。午後2時には8・26マイクロシーベルトに跳ね上がった。
茨城県東海村にある東京大の研究施設の敷地内と、日本原子力研究開発機構の敷地内では15日朝、通常の約100倍の毎時約5マイクロシーベルトを観測。東大では午前7時46分から約20分間、毎時約5マイクロシーベルトが続いた後、毎時約3マイクロシーベルトより低い値で推移した。両機関は通報の基準を超えたとして国に通報した。
東大の上坂充教授は「午前1時ごろから数値が上がり始めた。放射性物質が風に乗ってきていると思うが、人体には影響がないレベルだ」と話している。
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