震災後の携帯電話の通信障害を迅速に復旧するため、ソフトバンクモバイルが気球を使った基地局を開発し、早ければ来年度中にも実用化する。独立行政法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と協力して、来年3月にも実証実験を行う。鉄塔による基地局に比べて通信エリアが格段に広く、有力な通信確保策として注目される。
東日本大震災では、携帯電話事業者の基地局や通信回線が広範囲に障害を受け、現在も復旧作業が続いている。ソフトバンクは電力供給が途絶えても24時間以上稼働できる基地局2200カ所を新設する計画だが、気球基地局は設備復旧が遅れる地域で活用する。
気球基地局は、地上100メートルの上空にアンテナなどを備えた気球を上げ、地上の電源車と通信回線でつないで稼働する。観測気球開発などで実績のあるJAXAと共同開発する。
鉄塔の上にアンテナを備え付けた通常の基地局は高さが20〜50メートル程度で、通信エリアの半径は3〜6キロメートル。気球基地局は半径が15キロメートルで、2・5〜5倍に広がる。ただ、稼働性能が天候に左右されるため、軽量化や通信品質の安定などについて検証する。
[SankeiBiz]
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