高速1000円終了、観光地不安…関西から足遠のく
産経新聞 6月11日(土)15時34分配信
東日本大震災の復興支援のため、東北地方の高速道路無料化に伴い、19日で打ち切られる「休日料金上限1000円」と、凍結される50区間の無料化実験。高速道路政策の目玉としてこの制度が導入された平成21年3月以降、観光客が増えた地域も多い。利用者からは制度変更後の遠出をためらう声もあり、観光地の関係者は影響を心配している。
全国屈指の温泉地・道後温泉を抱える松山市。週末は県外ナンバーの車でごった返す。上限1000円廃止前の“駆け込み”で広島市西区から訪れた会社員、棟本恵一さん(43)は「今まで来たことはなかったが、温泉や街の雰囲気も素晴らしい」と満足そうだが、「料金が上がるなら、時間をかけて来ないでしょう」と苦笑いした。
讃岐うどんブームに沸く高松市も状況は同じ。兵庫県小野市から何度も香川県を訪れているという会社員の吉田昭治さん(66)は「瀬戸大橋が上限1000円だから、よく来たけど、なかなかこれなくなりそう」と残念がる。讃岐うどん店「竹清」の竹田啓二店長(57)は「大阪や神戸以外に三重や滋賀の人も増えていたから、影響はあるだろう」と話す。
本四連絡道路を利用する必要があった愛媛、香川両県にとって上限1000円効果は大きかった。
松山市がまとめた平成22年の推定観光客数は、前年比12%増の約588万人。西瀬戸道(しまなみ海道)開通の11年(約609万人)に次ぐ数字となった。香川県でも21年に瀬戸中央道(瀬戸大橋)からの観光客は307万5000人と、前年から28・9%も増加。神戸淡路鳴門道からも21年は前年比12%増の190万9000人に達した。このため同県観光振興課の担当者は今後の見通しを「橋の料金アップのマイナスの影響はある」と分析する。
一方、無料化実験が凍結される兵庫と福井を結ぶ舞鶴若狭自動車道。京都府舞鶴市など府内3市と福井県内3市町は昨年5月、若狭・中丹広域観光誘客協議会を発足させ、高速無料化観光PRに取り組んできた。国土交通省によると、無料化後の昨年6月から12月末までの休日1日当たりの舞鶴東−大飯高浜間の交通量は約1万1300台で、無料化前の3倍以上になった。
無料化後売り上げが約2割増えた舞鶴港とれとれセンターの藤元達雄理事長(63)は「売り上げが減るのは確実。震災復興を優先すべきだが、将来的には無料化の再開も検討してほしい」という。舞鶴市観光商業課の担当者は「高速道路名から『舞鶴』を知ってもらったという意味ではプラスだったが、今後はリバウンドが懸念されるので、これまで以上にPRを徹底したい」と話した。
ただ、制度変更が追い風になるとの憶測もある。香川県は、マイカーに押されて減少傾向だった鉄道や飛行機などの公共交通機関が息を吹き返す機会として、主要駅や空港でのPR強化を検討する。また、愛媛県宇和島市のバス会社「宇和島自動車」の担当者は「経費は増えるが、(交通量が減り)定時運行できる。バスの利用増を期待したい」と話している。
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全国屈指の温泉地・道後温泉を抱える松山市。週末は県外ナンバーの車でごった返す。上限1000円廃止前の“駆け込み”で広島市西区から訪れた会社員、棟本恵一さん(43)は「今まで来たことはなかったが、温泉や街の雰囲気も素晴らしい」と満足そうだが、「料金が上がるなら、時間をかけて来ないでしょう」と苦笑いした。
讃岐うどんブームに沸く高松市も状況は同じ。兵庫県小野市から何度も香川県を訪れているという会社員の吉田昭治さん(66)は「瀬戸大橋が上限1000円だから、よく来たけど、なかなかこれなくなりそう」と残念がる。讃岐うどん店「竹清」の竹田啓二店長(57)は「大阪や神戸以外に三重や滋賀の人も増えていたから、影響はあるだろう」と話す。
本四連絡道路を利用する必要があった愛媛、香川両県にとって上限1000円効果は大きかった。
松山市がまとめた平成22年の推定観光客数は、前年比12%増の約588万人。西瀬戸道(しまなみ海道)開通の11年(約609万人)に次ぐ数字となった。香川県でも21年に瀬戸中央道(瀬戸大橋)からの観光客は307万5000人と、前年から28・9%も増加。神戸淡路鳴門道からも21年は前年比12%増の190万9000人に達した。このため同県観光振興課の担当者は今後の見通しを「橋の料金アップのマイナスの影響はある」と分析する。
一方、無料化実験が凍結される兵庫と福井を結ぶ舞鶴若狭自動車道。京都府舞鶴市など府内3市と福井県内3市町は昨年5月、若狭・中丹広域観光誘客協議会を発足させ、高速無料化観光PRに取り組んできた。国土交通省によると、無料化後の昨年6月から12月末までの休日1日当たりの舞鶴東−大飯高浜間の交通量は約1万1300台で、無料化前の3倍以上になった。
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ただ、制度変更が追い風になるとの憶測もある。香川県は、マイカーに押されて減少傾向だった鉄道や飛行機などの公共交通機関が息を吹き返す機会として、主要駅や空港でのPR強化を検討する。また、愛媛県宇和島市のバス会社「宇和島自動車」の担当者は「経費は増えるが、(交通量が減り)定時運行できる。バスの利用増を期待したい」と話している。
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最終更新:6月11日(土)17時9分
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