詐欺:「モンゴルで最も成功した韓国人実業家」を逮捕

横領した会社の資金をスイスの銀行に預金、モンゴルに超高層ビル建設

 モンゴル韓国人商工会長、韓国人会副会長、ホテルや不動産の開発会社社長、大韓貿易投資振興公社(KOTRA)のモンゴル駐在顧問…。

 華やかな肩書きを誇り、モンゴル在住の韓国人たちの間で「最も成功した実業家」とされていたK容疑者(48)が、今月初めに検察に逮捕された。K容疑者はホテルや不動産の開発会社を経営し、モンゴルで最も高いビル(25階建て、高さ105メートル)の建設工事を受注するなど、成功を重ねていた。

 ところが、ソウル中央地検調査部(ペ・ソンボム部長)は10日、海外の船会社で1億1500万ドル(約92億3600万円)以上の資金を横領した容疑(特定経済犯罪加重処罰法の詐欺罪など)でK容疑者を逮捕した。

 逮捕状によると、K容疑者が犯罪に手を染めたのは10年前からだという。当時、K容疑者は西アフリカのリベリアなどを拠点に営業していた船会社H社のG会長(当時69歳)の秘書をしていた。ところが、2001年にG会長が脳こうそくで倒れ、認知症を発症して以降、K容疑者はH社の資金の横領に手を染めた。その後、G会長が病床にあった4年間に、預金を引き出すための署名権者の名義をG会長の後妻Aさん(47)に変更し、外資系銀行の香港支店で引き出すという手口で、計1億1500万ドルを横領した。

 K容疑者はこの金を、スイスなど外国の複数の銀行口座に預けたが、07年6月にG会長が死亡した後、厄介な存在になったのは、G会長と前妻との間の娘たちだった。G会長の遺産の相続権者は、前妻との間の娘3人と後妻、後妻との間の息子の計5人だった。娘たちは遺産を分配する過程で、K容疑者から連絡がなかったため、K容疑者のもとを訪ね「告訴も辞さない」として資産の公開を求めた。ところが、K容疑者は告訴される直前の07年8月にモンゴルへ渡航、娘たちは09年になって、1億1500万ドルが後妻Aさんの名義で引き出されていたことを知った。

 K容疑者は、横領した金の一部をモンゴルの超高層ビルの建設資金に充てたり、ホテルやゴルフ練習場を経営するなど、さまざまな事業を展開した。また、モンゴル韓国人商工会長などの役職に就き、モンゴル在住の韓国人たちの間で影響力を行使した。G会長の娘たちの告訴を受け、検察はK容疑者に対し、数回にわたり帰国を促したが、K容疑者は「事業で忙しい」との理由で応じなかった。

 このため検察は、国際刑事警察機構(インターポール)を通じてK容疑者を指名手配し、モンゴルの捜査当局に協力を要請した。同国の外国人管理庁は先月29日にK容疑者の身柄を拘束、韓国検察の捜査官がモンゴルへ出向き、K容疑者を連行した。

 検察は、K容疑者が横領した預金1億1500万ドルのうち、約3000万ドル(約24億900万円)を除く8500万ドル(約68億2600万円)の使途について調べを進めている。

 現在、ソウル拘置所に収監されているK容疑者は「私が受け取った3000万ドルは、G会長が口頭で約束した相続分で、後妻のAさんも預金を引き出すための署名権者の名義が変更されたことは知っていた」と供述しているという。検察はK容疑者がAさんと共謀したか否かについて捜査を進めているが、Aさんは「私は全く知らない。全てK容疑者が一人でやったことだ」と供述したという。

アン・ジュンヨン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
関連記事
記事リスト

このページのトップに戻る