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福島の3河川、汚染調査へ 海への広がり解析 金沢大

2011年6月11日3時1分

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図:雨による河川経由の海の放射能汚染のイメージ拡大雨による河川経由の海の放射能汚染のイメージ

 東京電力の福島第一原発事故で土壌に広がった放射性物質が、梅雨期の長雨で川に流され、新たな海洋汚染を起こす恐れがあるとして、金沢大学の長尾誠也教授(環境放射化学)らが現地調査に乗り出す。福島県内の3河川で6月下旬以降に汚染度を調べる。生態系への影響を探る際の基礎データなどに役立てる。

 今回の事故による海の放射能汚染は、(1)原発の敷地から汚染水が直接海へ流出する(2)いったん大気に放出された後に海へ降り注ぐ、の二つが主要な汚染ルートとされてきた。しかし、内陸から太平洋に向けて流れる大小の河川に、土壌に降り積もったセシウムなどの放射性物質が流れ込み、海を汚染する心配がある。

 研究チームは6〜7月の梅雨期に、河川水の放射性物質の濃度がどの程度になるか調べる。原発から30キロ圏外でも高い汚染が見つかった福島県飯舘村を上流域にもつ新田川(南相馬市)のほか、阿武隈川(白河市、伊達市)と宇多川(相馬市)の計3河川4カ所を対象にする。河川ごとに15〜60リットルの河川水を採取。金沢大学低レベル放射能実験施設(石川県能美市)で、半減期が30年と長いセシウム137などの放射性物質がどれだけ流入しているか、解析する。結果はネット上で公表する。

 梅雨期の後の8〜9月には、台風などの大雨による影響を調べる計画だ。

 セシウムは、土壌の表面や浅い部分にとどまり、雨が降ると川などへ流出しやすい。水にとけた状態のほか、土の粒子に吸着した状態でも海へ運ばれる。粒子と一緒になったセシウムの一部は、沿岸などの海底に堆積(たいせき)し、貝類などの底生生物の体内に生物濃縮される可能性もあるという。

 1986年のチェルノブイリ原発事故では、事故発生の翌春に雪解け水でウクライナの川が増水して土壌のセシウム137が流れ込み、直前の冬に比べて6倍の濃度になったケースが報告されている。

 長尾教授は「川によって放射性物質がどう運ばれるのか、中長期的に監視してゆく必要がある。少なくとも1〜2年は、追跡調査をしたい」と話している。(山本智之)

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