注意:このお話は『とどかない思い』の続きと言うことになっています。そちらを読んでいない方は先にそちらを読むことをお勧めします。





「結構広い部屋ですね。」

テレサ・テスタロッサ、愛称テッサは室内を一通りみてそういった。

かつて宗介の住んでいたミスリルのセーフハウスから200メートルほど離れたマンション、

そのマンションの最上階の一室

かなりの高物件であることを伺わせる部屋の中にテッサと彼女の恋人相良宗介はいた。

「はい、しかし、二人で住むには少し広過ぎます。」

普段のムッツリ顔のまま宗介は答えた。

そう、今日からこの部屋がテッサと宗介の新居となるのだ。



フルメタルパニック二次創作

テッサENDシリーズ 第二話

新居へのお引越し







宗介とテッサが恋人同士になって丁度一ヶ月が過ぎた。

この一ヶ月の間本当にいろいろなことが起こった。

まず二人の関係を知った千鳥かなめとリチャード・マデューカス大佐が烈火のごとく怒り宗介を半殺しにし、本当に魚雷管に詰め、発射スイッチに手までかけたり。

メリッサ・マオとクルツ・ウェーバーを始めとする一部の隊員(主に女性隊員)がテッサを冷やかしたり、

男性隊員の一部が宗介をリンチしようとしたり(宗介に返り討ちにあったが。)

などなど、上げれば切がないが

それらの問題を宗介とテッサは何とか解決してきたのだ。

しかし、ここにきてそんな二人の前に新たな問題が浮上してきた。

それは―

「家具どうしましょう」

「むぅ」

そう、それは家具の問題である。

この部屋そのものはボーダー提督が画自分のポケットマネーで購入したものであるが、家具類などは付いていなかったのだ。

宗介がセーフハウスで使っていた家具類は次にあそこを使う隊員用において来た。 テッサも同様で自分の衣類くらいしか持って来ていない。

このままでは今晩はフローリングの床で二人そろって寝袋で寝ることになってしまう。

「ソースケさん、とりあえずお買い物に・・・・」

ピンポーン
テッサが宗介を買い物に誘おうと声をかけた瞬間、突如チャイムが鳴り響いた。

「お届けものでーす。」

どうやら宅配便のようだ。

「テッサはここにいてください」

そう言うと宗介は腰のホルスターからグロック19を取り出し、それを右手に持ち玄関へと向かう。

現在このマンションに宗介たちが住むのを知っているのは極小数のものたちだけである。

そんなところに宅配便、これは宗介でなくても怪しむ。

宗介が慎重に玄関の戸を開けるとそこには宅配会社の制服を着た20代後半の男がにこやかな笑みを浮かべて立っていた。

「相良様ですね。お届けものです判子をお願いします。」

「誰からだ」

「は?」

「送り主は誰かと聞いている。」

鼻の頭に銃を突きつけられた男は慌てて調べ出した。

「えーと、メリッサ・マオ様とクルツ・ウェーバー様となっておりますが」

確かにクルツとマオはこの場所に自分達が住むことを知っている。

そして、この男がどこかの工作員だとしても二人の名前を知っているとは考えにくい

「あの、判子いいですか、なければサインでもいいんで」

「ん、わかった。」

この男は工作員の類ではないと確信した宗介はおとなしくサインした。

「はい、確かに、おーい運び込め」 男の声に答え、巨大な荷物を抱えた男達が次々と部屋の中に入ってきた。

「なっ」

あまりのことに固まるテッサと宗介を尻目に男達はてきぱきと仕事をこなしていく。

「寝室はどこですか?」

男の一人にそう聞かれ固まっていたテッサは慌てて答えた。

「はい、その右奥の部屋です。」

「わかりました。」

男達は荷物を寝室に運び込むと何事もなかったかのように部屋を出て行く。

「あ、メッセージカードがありましたので運びこんだ荷物の上に置いておきました。では、ありがとうございました。」

そう言って最初に宗介が応対した男も出て行った。

「・・・・と、とりあえずメリッサ達が何を送ってきたのか確認しましょう。」

「・・・・はい」

しばし呆然としていた二人は荷物を確認するため寝室へと移動した。

「あ・・・」

「むぅ・・・」

そこで二人が目にしたものは、寝室の半分を占拠するほどの大きさのダブルベッドだった。

その他にもリビングにはソファーやテーブルが、キッチンには冷蔵庫や電子レンジなど、おおよそ生活に必要な家具類が運び込まれていた。

そして、男が言ったメッセージカードはベッドの上に置かれていた。

「メッセージカードというのはこれですね。」

テッサはカードを手に取った。それはカードというより完全な手紙であった。よく見ると二枚あり、一枚には『テッサへ』と書かれていて、もう一枚には『宗介へ』となっていた。

「はい、ソースケさんの分です。」 そう言ってテッサは宗介に手紙を渡す。

「ありがとう、テッサ」

手紙を受け取ると宗介はさっそく手紙を読み出したが、二枚あった手紙の二枚目を読んでいる途中で、宗介の顔色はどんどん悪くなって真っ青になった。

「どうしたんですかソースケさん?」

「いえ何でもありません、テッサ」

宗介はそう答えるのがやっとだった。 一枚目の手紙はクルツ・ウェーバーを始めとする基地内の隊員による激励の手紙だった。

そこには、『三国一の幸せもの』だの『お前には勿体無い』だの『水筒以外の使い方覚えたか』などということが書かれていた。

問題は二枚目である。二枚目の手紙は宗介とテッサの関係に最後まで反対していた人物、リチャード・マデューカス大佐からの手紙だったのだ。

そこにはこう書かれていた。

『サガラわかっていると思うが、私は貴様のことを認めたわけではないぞ、貴様のような奴は彼女には相応しくないと今でも私は思っている。だが、彼女が貴様をどうしても選ぶというのなら仕方がない、苦渋の決断ではあるが彼女の為だ、涙を飲んで祝福しよう。しかしだ、もし、貴様が彼女を物理的あるいは心理的に苦しめるようなことがあれば私は、神に誓って貴様を殺してやる。それだけではない考えうるありとあらえる苦痛を貴様に与えてやる。<以下、あまりにも見るに絶えない文章なので検閲により削除>わかったな、貴様のことは24時間監視しているぞ、逃げようなどと思うな、そんなそぶりを見せたら弾道ミサイルが貴様のところに飛んでいくと思え、わかったか』

文面はワープロで書かれていたが逆にそれが宗介の恐怖心を煽った。

一方、テッサのほうはといえば手紙を読み顔を真っ赤にしていた。

テッサのほうにはやれ『子供は高校を卒業してから』だの、やれ『結婚式には呼んでね』だのと書かれていた。マオにいたってはコンドームを同封してきた。

(もう、メリッサたら)

二人は正反対の色に染まった顔を合わせ、ため息をついた。



手紙を読み終えてから二人は部屋の片付けに移った。

さすがに二人でとなると大仕事で結局、すべての作業が終わったのは夜の10時を回ってからだった。

「さすがに疲れましたね。」

テッサはソファーに腰を下ろし大きく伸びをしてから、そのままソファーに寝そべる。

「風邪を引きますよ」

「じゃあ、ソースケさんがベッドまで運んでください。」

宗介が心配そうに声をかけるとテッサは満面の笑みでこう答えた。

「・・・・」

宗介が反応に窮していると、テッサはさらに追い討ちをかけてきた。

「ソースケさんはこのまま私が風邪を引いてもいいんですね・・・」

「いや、そういうわけでは・・・・」

「ああ、私が風邪で苦しんで、挙句の果てに肺炎でも患ってそのままポックリなんてことになったり」

テッサが『よよよ』と袖で口元を隠す。

「え・・・いや・・・その・・・」

その姿に、テッサはクスクスと笑ってしまう

「ふふ、冗談ですよ、ちょっと言ってみただけです。」

宗介がどうすればいいのか分からずおろおろしていると、テッサは笑いながら立ち上がりそう言った。

「私、そろそろ寝ますね。明日も早いですし、それじゃおやすみなさいソースケさん」

テッサはそう言って寝室に向かおうと踵を返した。

しかし、それは出来なかった。

宗介が寝室に向かおうとしたテッサの手をつかんだのだ。

「え!?ソースケさん、なにか・・・」

振り向こうとしたテッサは次の瞬間、軽い浮遊感を覚えた。

気がつくとテッサはソースケに抱きかかえれていた。いわゆる、お姫様抱っこというやつだ。

「ちょ、ソースケさんなにを、降ろしてください」

「寝室まで運んでくれと言ったのはテッサですが。」

テッサの抗議などどこ吹く風、宗介は彼女を抱きかかえたまま寝室に向かって歩き始めた。

「そ、それはそうですけど、自分で行きますから、とにかく降ろしてください」

テッサは顔を真っ赤にして抗議するが宗介は聞こえないとばかりにそのまま歩き続ける。

よく見れば宗介の唇の端がわずかに上がっている。

「もう・・・それなら、このまま一緒に寝てくれます?」

「無論そのつもりです。ベッドは一つしかありませんから」

二人はそのまま寝室へと消えていった。


TO BE CONTINUE

蛇足話


その後、宗介とテッサは二人してシャワーを真夜中に浴びた。

おあついことで・・・



あとがき



改造町人「ごめんなさい、場面転換が多すぎて読みにくかったと思います。さて、反省はこのぐらいにしていつもどおりのあとがきにいきたいと思います。」

マオ「あんた、クルツ並みに反省って言葉理解してないでしょ」

町人「『反省は五秒、その後は前向きに次の行動を』が私の身上なもので、Sのマオさん」

マオ「誰がサドよ」

町人「だって、『猫と子猫のR&R』でクルツが言ってたし・・・」

マオ「あの馬鹿の言うこと真に受けるんじゃないの」

町人「まぁ、冗談はこのぐらいにして、物語の解説のほうに移っていきましょう」

マオ「さらっと流すな」

町人「前回の『届かない思い』がシリアスラブだったので今回はラブコメ風にしてみました。ほのラブって感じだと思います(私の中ではこれでもうラブラブ状態ですが)」

マオ「ところで、最後が続くってなってるけど次回作ってあるの?」

町人「気が向けば書くかも」

マオ「行き当たりばったりね。」

町人「感想などが来れば執筆スピードが向上するかもしれませんよ」

マオ「だれもあんたの駄作なんか読みたくないわよ」

町人「酷い、100兆人に一人くらいは要るかも知れないじゃないですか」

マオ「それ、世界人口こえてるわよ」

町人「まぁ、それはおいといて、今回はこれでさようなら〜」

マオ「今回はずいぶんあっさりしてるわね」

町人「さっきから殺気をびんびん感じるんで、それではさいなら」

マオ「下手な駄洒落ね。」

かなめ「マオさん、この辺で眼鏡かけたうだつの上がらない髭面男みませんでした。」(激怒)
マオ「か、かなめ、いつの間に、えーとあっちに行ったわよ」(汗)

かなめ「ありがとうございます。あの髭面、見つけ出してハンバーグにしてやるわ、まってなさいよ」

マオ「駄洒落じゃなかったのね」(汗)



 


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