東日本大震災

文字サイズ変更

東日本大震災:ボランティアは阪神の3分の1、38万人

被災3県で活動したボランティアの人数(岩手、宮城、福島3県の災害ボランティアセンターに登録して活動を行ったものが対象)
被災3県で活動したボランティアの人数(岩手、宮城、福島3県の災害ボランティアセンターに登録して活動を行ったものが対象)

 東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県で活動するボランティアが、発生当日から3カ月間の延べ人数で、阪神大震災(95年)の3分の1にあたる40万人程度にとどまっていることが、内閣府のまとめで分かった。人数はゴールデンウイーク(GW)以降急減。被災地で復興の本格化とともにボランティアの需要が高まっており、関係者は東京など主要都市と被災地を結ぶ送迎バスを導入するなど、受け入れに奔走している。

 内閣府の震災ボランティア連携室のまとめでは、3県の災害ボランティアセンター(VC)に登録して活動したボランティアの総数は、震災当日から6月5日までの約3カ月間で延べ38万7900人。このほか連合や生協、NPOなどがVCを経由せず数万人規模のボランティアを送り込んでいるとみられるが、合わせても3カ月間で117万人(兵庫県の推計)という阪神大震災に遠く及ばない。

 この差について、同室は「被災地域が大都市圏から遠く、面積も広いうえ、新幹線や高速道路などの交通網寸断やガソリン不足などから当初は容易に近づけず、福島県では原発事故も重なった」と分析。さらに、被災自治体の多くが当初、県外ボランティアを受け入れなかったことも影響していると見ている。

 3県のVCは各地域の社会福祉協議会(社協)が設立。震災からしばらくは大部分が、ボランティア登録を地元住民に制限していた。社協や自治体の職員自身も被災し、大勢を受け入れても指示を出すのが困難だったことに加え、岩手県社協の根田秋雄・地域福祉企画部長は「自分で何とかしようという東北人気質とともに、『県外者を入れたら物が盗まれる』という警戒感もあった」と説明する。

 3県の内訳は、岩手9万9900人▽宮城21万7200人▽福島7万800人。宮城は岩手の倍以上だ。仙台市が被災地とも近接しているのに対し、岩手の被災地は盛岡市から車で2時間以上かかるなど遠いことが影響しているようだ。岩手の被災地には復興から取り残されかねないとの危機感も漂う。福島は原発事故のため立ち入れない区域が広いことが影響している。

 1週間ごとの人数の推移を見ると、震災直後から増え、ピークのGWの週は5万4100人だった。ところが、直近の6月5日までの1週間は2万4100人で、ピーク時の45%にまで落ち込んでいる。GW以降、ボランティア供給源となる大学の授業が本格化したことなどが影響しているとみられる。

 がれきや泥の撤去など復興の本格化で県外ボランティアを積極的に受け入れるようになった被災地は、需給のギャップを埋めようと知恵を絞っている。

 岩手のVCは盛岡市から大槌町へボランティアを無料で運ぶバスを4月に導入。今は陸前高田市や山田町にも出ている。GW以降は東京と被災地を直接結ぶ有料バスが運行し、連日満席という。宮城や福島でも同様のバスが運行されている。

 ボランティア活動と観光地巡りを合体させたツアーも登場している。日本旅行が今月中旬予定する宮城県ツアーは、2泊3日の日中に石巻市で漁港や住宅の泥かきをし、鳴子温泉に1泊。復興支援と観光振興の一石二鳥を狙う。【井上英介】

毎日新聞 2011年6月10日 15時00分

PR情報

スポンサーサイト検索

東日本大震災 最新記事

東日本大震災 アーカイブ一覧

 

おすすめ情報

注目ブランド

毎日jp共同企画