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鮮やか「桃太郎」 甚目寺・カプセル仏発見

2011年06月02日

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木製のカプセルに閉じこめられていた胎内仏

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側面から見た愛染明王坐像。胸の中にカプセルが入っていた=いずれも名古屋市博物館提供

●700年ぶり、鎌倉期の姿そのまま 7月公開

 あま市の甚目寺に保管されていた県指定文化財「愛染明王坐像(あいぜんみょうおうざぞう)」から見つかったと、1日発表された胎内仏は、カプセル状の木製の容器に納まっていたため、製作時の鮮やかな色彩が残っているのが特徴で、専門家も高い関心を示す。日本初となる「カプセル仏」は、7月16日から名古屋市博物館で始まる特別展で公開される。

 高さ6・6センチの「カプセル仏」が見つかったのは昨年12月21日。愛染明王坐像(高さ105センチ)は1996年の調査で内部に球状の物体があることが分かっていたが、詳細は不明だった。坐像は古文書から鎌倉時代の1284年以前の製作とされる。老朽化に伴う解体修理にあわせ、内部の球体の正体を確かめることになった。
 調査当日、坐像の胸部に納められたカプセルが約700年ぶりに開けられると、中から色鮮やかな朱色の胎内仏が現れた。あまりの鮮やかさに関係者からは「現代に現れた桃太郎のようだ」と驚きの言葉が上がったほどだったという。
 胎内仏は直径約10センチのカプセルの中で竹くぎとニカワで固定されていた。胎内仏は、全国で数多く見つかっており、仏像内の空洞を利用して寄進者ゆかりの遺品を納めることが多い。市によると、坐像と同じ容姿の「ミニチュア版」の胎内仏が見つかることは珍しく、カプセルに納められていたのは日本初という。
 名古屋市博物館学芸課の山田伸彦学芸員は「タイムカプセルで現代に鎌倉時代の仏様が現れたようなもの。研究面では、当時の色彩がそのまま残っているので、同時代の仏像の修復のための重要な参考史料になっていく」と話した。今回の発見は、5日に奈良県で開かれる文化財保存修復学会でも報告される。
 同市博物館は今回の発見を記念した特別展「甚目寺観音展」を開催する。7月16日から8月28日まで。観覧料は一般で千円、高校・大学生600円、中学生以下無料。問い合わせは同館(052・853・2655)。(井上未雪)

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