日本には閉鎖的で排他的な国なのか?

日本初の外国人芸者として東京・浅草で活躍してきたオーストラリア出身の女性が、芸者協会から除名され、廃業に至ったと、各メディアが報じています。その女性は、2007年から「紗幸(さゆき)」の名で活動してきたフィオナ・グラハムさん。昨年12月に、置き屋や料亭が所属する東京浅草組合(台東区)に独立を求めたのですが、認められませんでした。

このニュースは韓国でも報じられています。中でも「SBSニュース」は8日、今回の芸者問題について、モンゴル出身で大相撲元横綱・朝青龍関や、朝鮮半島出身の力道山などとを絡めながら、「日本の社会には根深い閉鎖性と排他性がある」と報じました。

以下、記事を要約。
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青い目の外国人1号芸者は、今年47歳になるオーストラリア女性のフィオナ・グラハムだった。メルボルン生まれで15歳で来日。慶応大学で学びオックスフォード大学で社会人類学の博士号を取得して、芸者になるため再び日本を訪れた。

出発は順調だった。「青い目の芸者」として浅草の料亭で活躍し、芸者として自信を付けると、業界初のホームページを開設したり、各種イベントを開催するなど、新しいスタイルの料亭文化を切り開きはじめた。しかし、伝統を重視する組合は、保守的で閉鎖的。自由奔放で型破りな異邦人の行動を受け入れず、組合は彼女に公演の機会を与えなくなった。

グラハムは同僚との関係も悪化したことから、ついに組合は除名を決定した。グラハムは、豪州メディアに「外国人だという理由で拒否された。今後も芸者として活動を続けて行く予定」と話した。つまり、青い目の芸者は、4年で廃業の危機に至ったのだ。グラハムが適応に失敗したとの見方もあるが、日本社会特有の閉鎖性と排他性がよく表れた事例だという分析もある。

このようなケースは相撲界にも存在する。昨年の元横綱・朝青龍の引退劇だ。朝青龍はモンゴル出身で、17歳で来日し、相撲界にデビューすると躍動的で豪快な相撲で人気を博した。しかし、彼は日本のメディアから、執拗な攻撃を繰り返し受けた。横綱に日本人が1人もいない状態で、「後進国」モンゴル出身の選手が大手を振って歩く姿を、日本人がよく見るはずがないのだ。メディアは、彼が勝利した時に見せたポーズが「敗者を配慮しない傲慢な態度」などと何度も非難した。

結局、場所中に騒動を起こしたことから、責任を取る形で引退を表明した。しかしそれは、事実上の強制的な引退。さらに、これを待っていたかのごとく日本のスポーツ界や角界、政界からは、外国人選手の入門禁止や、日本人精神の教育が必要だとする意見が相次いだ。モンゴル人横綱の没落も、結局は内側(日本)の人間ではない外側(外国)の人間に対する日本の根深い排他性と“いじめ”文化から始まっていると見ることができる。

朝青龍の没落からは、在日同胞のプロレスラー力道山(韓国名・金信洛)も思い浮かぶ。力道山は相撲界に入り関脇まで上ったが、朝鮮人だという理由で様々な不利益を受け、すぐ引退してしまった。その悲しみはプロレスラーとして吹き飛ばしたが、最後は日本人の青年に刺され亡くなってしまった。
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この記事については、韓国人ネットユーザーたちもいくつかのコメントを寄せています。記事は、グラハムさんの問題を、日本の閉鎖性や排他性が原因だとしていますが、韓国ネットユーザーらは反対意見を持つ人も多いようです。

・日本は先進国だから開放的だと思ったけど、今でもこんな閉鎖的な面があるとは知らなかった。グローバル時代の先頭にいる国なのに、こういった習慣は消えないんだね。

・でも韓国に伝統舞踊を踊る外国人がいるか? シルム(韓国式相撲)に外国人選手がいるか? 韓国の閉鎖性、排他性と比べたら、日本はまだいい方だと思うぞ。

・韓国と大差ないと思う。韓国も外国人を表面的には歓迎するけど、裏では違うじゃん。

・人種、宗教、民族などの葛藤は、どこにでもある。後進国出身の女性を農村に嫁がせる韓国より、日本の方が良い。

・芸者は日本の伝統文化だから、一番大切なのは伝統を傷つけずに保存すること。でも、グラハムはそれを守らなかったから除名されたんだ。日本は閉鎖的でも排他的な国でもない。むしろ外国文化に優れたものがあれば積極的に受け入れる方だ。

・民族的な気質から日本人は“ニセモノ”が嫌いなんだ。グラハムは本物の芸者になりきらないといけないのに、そうでなかったから除名されたんじゃない?


「伝統」を次世代に受け継ぐためには、これまでの様式をしっかりと保護し守って行く一方で、その時代のニーズに合った要素を取入れながら衰退させないにする必要もあります。どちらか一方でもバランスを崩せば、伝統文化の継承は困難なものになります。伝統の「純粋さ」を守ろうとする行為を、伝統の保護とみるか、閉鎖性・排他性と見るかは立場によって違ってきます。しかしそれは、どの国でも、どの地域でも直面する問題でもあります。

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