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関電:真夏の供給、確保へ 原発停止中でも余剰電力かき集め

 関西電力の原発が定期検査で停止したままでも、民間の自家発電による余剰電力などで、真夏の需要に対応する供給量を確保できる見通しであることが4日、毎日新聞のまとめでわかった。東京電力の原発事故で、関電の原発の再稼働については、福井県が政府に「新たな安全基準」の設定など慎重な対応を求めている。関電は原発の早期再稼働を求めると同時に、今夏に再稼働が間に合わなかった場合でも、民間の協力を仰ぎつつ、計画停電や大幅な節電などの事態を回避する方策を検討することになりそうだ。

 関電の今夏ピーク時の需要予想は2956万キロワット。関電の原発11基中、定期検査中の原発4基と、燃料漏れで停止中の日本原子力発電の1基が停止したままだと、原発5基分353・8万キロワットが供給できず、供給力は2937万キロワットに下がる。

 これに対して、近畿2府4県には出力1000キロワット以上の自家発電設備が418カ所に約669万キロワット分ある。毎日新聞が個別に取材したところ、大阪ガスがガスを供給し、自家発電を行っている大阪府内の工場などに少なくとも約15万キロワット、その他の民間企業の自家発電に約4万キロワットの供給余力(余剰電力)があり、「関電に供給することが計算上は可能」という。

 さらに関電には夜間に水をくみ上げて昼間のピーク時に放流して発電する揚水発電の上積み分も約15万キロワットあり、これらを積算すると約34万キロワットになる。

 この発電量は美浜原発1号機に匹敵。今夏の供給力はピーク需要を上回る2971万キロワットとなり、計画停電などは回避できる見通しが立つ。関電は原発停止が続く場合、さらに供給力を増やすため、「自家発電の余剰電力をかき集めることは当然の選択肢」(関電首脳)という。

 原発停止と余剰電力購入は電気料金のコスト増要因となるが、関電は電力の安定供給を優先する。【横山三加子、南敦子】

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 ◇Q 供給力は十分なの?

 ◇A まだ不確定要素も

Q 自家発電って何?

A 工場などが自前で持つ発電設備です。重油など燃料を調達して発電するものや生産過程で出る熱やガスなどを利用するタイプなどがあります。非常時でも生産ができるように備えている企業もあれば、大規模な自家発電設備で発電事業に取り組む企業もあります。

Q 余力が使えるの?

A はい。最近の重油などの燃料高で、自家発電よりも電力会社から電気を買ったほうが割安なのが現状で、自家発電の中には休止中のものや稼働率が低いものもあります。東京電力も今回の震災後、企業から集めて供給力を高めています。

 有効活用は可能ですが、コスト高がネックなので電力会社や国による支援策が必要でしょう。

Q 自家発電などを活用すれば関電の供給力は十分なの?

A 気温など不確定な要素もあり、まだ十分とは言えません。電力会社が安定的に電力供給するために必要な供給予備力を確保するためには、関西広域連合が呼びかけている企業や家庭での節電努力も大切です。

Q 東京電力や中部電力への電力融通はできるの?

A 関電の供給力に余裕がないと難しいでしょう。関電は他電力への融通のためにも原発の運転再開が必要としていますが、原発の安全性に関する議論がおろそかになることだけは避けたいものです。

毎日新聞 2011年6月4日 大阪夕刊

 

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