福岡市の宗教法人が正当な業務報酬を装い、4カ月で計600万円前後を不当に暴力団側に提供したとして、福岡県公安委員会は10日、県暴力団排除条例に基づき、宗教法人の代表者の男性(47)と指定暴力団山口組系組幹部(61)に利益供与をやめるよう勧告した。県警によると、法人代表者は「悪いことをして申し訳ない。やっと暴力団と縁が切れる」と話し、組幹部は「勧告には従う」と答えたという。
宗教法人は昨年10月―今年1月、運営する霊園の清掃業務などを、組幹部が実質経営する会社(同市早良区)に委託。月額290万円、計1160万円を支払ったが、実際の人件費などの経費は月に140万円ほどで、毎月150万円前後が不当に上乗せされたとみられるという。
県警の調べに法人の代表者は「暴力団の資金源になると知りつつ、拒否できずに支払い続けていた」と説明。1987年以降、正当な費用も含め少なくとも8億5500万円を支払ったという。
同条例は、暴力団への利益供与を禁じており、勧告に従わなければ法人名などを公表する。条例に基づく勧告は3例目。
=2011/06/10 西日本新聞=