全量買取法案成立めど立たず “空白期間”生じる恐れ
2011/06/10
再生可能エネルギーの普及拡大に向けた中核的な施策ともなる全量買取制度の導入に向けた法案の成立の見通しが立たない状況が続く中で、“空白期間”が生じる可能性が出ている。再生可能エネに対する補助金は買取制度の導入という前提のもと、打ち切られた状況にある。設置事業者などは、仮に法案が今国会で成立しない場合には、補助金を復活させるべきと主張するが、経済産業省・資源エネルギー庁は「補助金は復活させない」との態度を崩していない。
菅直人首相の退陣時期も見えず、国会が正常化する気配はない。重要法案で審議が進められているのは、与野党で合意を得ている復興基本法案のみ。会期を延長するかどうかも見通せない状況だ。全量買取法案についても、国会に提出はされているが、経済産業委員会にも降りていない状況が続いている。
エネ庁が当初描いていたスケジュールは、7月までに全量買取法案を成立させ、制度の詳細議論を開始。12年4月に制度を導入するというもの。継続審議となり、秋の臨時国会まで持ち越した場合、「12年4月の制度導入は相当厳しい」(省エネルギー・新エネルギー部)とする。
“空白期間”をどうするのか--。法案成立の見通しが立たない中、つなぎとして補助金の復活を求める声も出ている。
全量買取制度の導入を前提に、再生可能エネの設置に関する補助金は、事業仕分けによりカットされた。また、新エネルギー利用特別措置法(RPS法)は、全量買取法案の成立に伴い廃止されることになっており、12年度以降の目標値は設けられていない。
エネ庁では、仮に全量買取法案が成立せず、制度開始が12年4月以降にずれ込んだ場合でも、補助金は復活させず、RPS法による目標値については、当面は前年度と同様とする考えを示す。補助金を復活させた場合に、「補助金でできるのであれば、全量買取制度はいらない」という意見が出れば、同法案の成立が難しくなるとの懸念があるからだ。
一方、環境省は「事業者を絶食させることになる」と補助金の必要性を指摘する。目の前にあった補助金を取り上げる代わりに、買取制度を事業者に与えるというのが、補助金をカットした理由。その制度導入が遅れれば、再生可能エネの普及促進を阻害しかねないとの主張だ。
東日本大震災を踏まえ、再生可能エネの促進に向け全量買取制度の早期導入を求める声が強まってはいるが、原子力発電所事故による燃料費の高騰などにより電気料金の上昇が避けられない中で、さらに値上げにつながる同制度の導入に、反対の意見もある。もともと産業界は全量買取制度の導入に反対していたという経緯もあるだけに、“空白期間”に対しても難しい対応が迫られそうだ。 (本紙1面より)
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