米国防総省は16日、福島第1原子力発電所からの放射能被ばくを避けるため、少なくとも50マイル(80キロメートル)圏から避難するよう軍関係者に命じた。
国防総省が設定した範囲は、日本政府が先に設定したものよりも大きい。日本では原発から20キロ圏の避難と20~30キロ圏内の屋内退避が指示されている。米政府はこれまで、日本にいる米国人は日本政府の勧告に従うよう求めていた。
在東京米大使館は15日、米国人は20キロ圏から離れるよう勧告。また同日出された米原子力規制委員会(NRC)の声明は「日本政府が勧告した措置は、米国が同様の状況下で取る措置と同じだ」としていた。
これとは別に、ホワイトハウスは16日、原発から80キロ圏内にいる米国人は避難するよう勧告した。
カーニー米大統領報道官によると、ジャッコNRC委員長は原発状況の「悪化」に鑑みてオバマ大統領に勧告した。同報道官は、避難の支援が必要な米国人は在日大使館に連絡を取るよう求めている。
ラパン米国防総省副報道官は16日、記者会見し、在日米軍は原発から80キロ以上離れるよう命令を受けたと述べるとともに、これは予防措置として「米軍だけに対して」出されたと指摘した。同副報道官は、米軍がいつこの80キロ圏を設定したのかすぐには分からないとしている。さらに、震災救援に当たっている米軍も事態の変化に対応できるようにしていると語った。
同副報道官は「われわれはあらゆる事態に対応できるように訓練され、装備を持っている」とし、「われわれは測定、検査、対応、予防措置の方法を知っている」と強調した。
一方で米軍による震災救援活動は活発化しており、これまでに船舶14隻が東北沖合に到着。第7艦隊旗艦のブルー・リッジは17日に到着する予定だ。また、米軍は2台の消防車を原発に派遣。日本政府は追加のポンプやホースの提供を求めている。これらの消火設備は日本人が操作している。