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日本の攻勢

[Part1]

日本の成長戦略、インフラ輸出にかかる期待

 

インフラ(社会基盤)大国としての地位を確立。2020年までに、19.7兆円の市場規模(生産額)を目指す――。菅政権が掲げた「新成長戦略」の一部だ。
新戦略では、原子力発電を含むエネルギー、水関連、高速鉄道などをインフラ輸出の重要事業と見なす。
新戦略の基本構想を練った経済産業省。大臣の直嶋正行は、インフラ輸出の意義について、こう表現した。

「アジアや中東など新興国のインフラ整備の後押しをして、経済成長に貢献する。その成長の成果の一部を日本にもいただくということだ」

日本は、フランス、米国などと並んで世界有数の原発メーカーを抱える。
原発の新設が先細りになれば技術の伝承もままならず、2030年ごろから本格化する国内原発の更新時にも自前技術が保てない――そんな危機感が政府にはある。

UAEの入札では、直嶋自身も直接乗り込んで、売り込みをかけた。トップセールスの力で韓国に負けたのか。直嶋は「最終的には経済合理性で判断されるというのが私の持論だ」と言う。運転や保守も含むシステム全体での提案が不十分だったのが敗因だと分析する。

官民出資でつくる新会社は、そうした弱点を克服することが狙いだ。原発メーカーだけでなく、原発の運転、営業を担う電力会社が関与するのが特徴だ。

直嶋は言う。「電力会社も地域にこもらず、海外に出て行かなければ収益の拡大はできない。内需中心だったインフラのビジネスがいかに海外展開できるか。ひいては日本産業全体が脱皮できるかどうかの試金石になる」

(文中敬称略)

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