2011年5月28日(土)
少年を誤認逮捕 傷害事件で奈良署 目撃証言だけで逮捕 2011年5月28日 産経関西より
http://www.sankei-kansai.com/2011/05/28/20110528-053319.php
奈良署は27日、傷害事件の容疑者として、大阪市内に住む派遣社員の少年(19)を誤認逮捕していたと発表した。少年は逮捕当日に釈放された。
同署によると、少年は4月4日夜、京都府木津川市内の土木作業員(19)と共謀し、奈良市三条町の市道で、私立大3年の男子学生(20)に暴行を加えたとして、同18日午前に傷害容疑で逮捕された。
しかし逮捕直後に少年の弟(17)が「現場にいたのは自分だ」と申し出て、土木作業員も「少年の弟と現場にいた」と供述したため、同日夜に少年を釈放したという。
同署は27日、傷害容疑で少年の弟と土木作業員を奈良地検に書類送検した。
松木平博視署長は「少年や保護者の方には、心からおわびを申し上げます。今後、このようなことがないよう適正捜査に努めます」とコメントした。
※「2011年5月24日(火) 過ちて改むるに憚ることなかれ 布川事件、再審無罪 発生から44年 水戸地裁土浦支部」のなかで、「目撃証言なるものがいかに信用ならないか、また第三者の影響を受けやすいか、様々な心理学的検証で明らかになっている」・「物証もなく、目撃証言だけでは冤罪を生む原因になる」と書いた。
今回の記事はまさにわたしが危惧した通りの結果だった。
今回の記事のソースは産経だが、京都新聞には「現場の目撃証言などから犯人と断定」したのだが、これが全くの誤認逮捕。
真犯人は弟と土木作業員だそうだ。弟だから似ていて当たり前。目撃者も、兄と弟の区別が付かなかったのは仕方がない、という擁護論もあろう。
しかし、この世には、自分そっくりの人間が3人いるという。他人のそら似で逮捕されたらたまったもんじゃない。
似ていたか、似ていなかったかは、捜査のとっかかりである。犯人と断定するには、アリバイ・秘密の暴露などが必要。
この産経新聞の記事を読んでみると、重要な情報が抜けている。京都新聞には書いてある。
それは、奈良署の中田安彦副所長の「裏付け捜査が不十分だったと言わざるを得ない」という釈明が真実を語っている。
2011/05/27 17:55 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/trial/509073/ には掲載されているがなぜか
http://www.sankei-kansai.com/2011/05/28/20110528-053319.php
には、この核心部分は産経新聞には抜けている。
地元の事件を報道する産経の「地元・関西版」には、奈良署副所長の釈明が抜けている。
最近、このような自白・目撃証言だけで逮捕する例が多い。以前はもっとすくなかった?
いや違う。物証に基づかない捜査にマスコミのメスが入れられたために「目立っ」ているだけである。
監視の目をゆるめれば、自白だけで裁判がやられる時代に逆戻りするだろう。