ボクにもわかる地上デジタル - 地デジ資料編 - 受信品質確認方法 (作成:2004年06月) 地デジTopへ戻る 受信品質の2つの指標 受信品質の確認で、特に、確認しなければならない点は、C/N値と受信電力 値です。例えば、受信電力が十分に高くても、電波の品質であるC/N値(CNR) が低くければ、受信できない場合があります。 C/N値は、CNR値、CN値とも呼ばれ、下図のように受信電力のノイズに対する マージン、つまり、電波の品質を表していることになります。 ________ 受信電力 ┃ ↑ ┃ | ┃ C/N値 ┃ | ノイズ ┃ ↓ /\/\/\/\/\┃/\/\/\/\/\ ┃ ┃ ──────────┸────────── チューナ受信波形(説明図) 受信電力:電波の強さ:受信した電波(希望波)の電力 C/N値:電波の品質:受信電力(搬送波)とノイズの電力の比 したがって、単に受信電力だけで受信状況を判断することは困難であり、 デジタルチューナには、受信品質の確認方法(FEM情報表示機能)が準備さ れています。 FEM情報表示(1) 受信電力指標値(IF_AGC値) 受信指標の値は、メーカ毎に違いがあります。受信電力の強さを表す、 Panasonicの受信電力指標とSHARPのIF_AGCについては、以下のような違い があります。但し、機種によって違いがあります。 |変化量|電力小 ←──────< 電力大 ─────────┼───┼──────────────── Pana 受信電力指標|+1.0dB| 25 30 35 40 65 75 80 85 SHARP IF_AGC ※ |-0.5dB|130 120 110 100 90 80 75 65 無断転用禁止 Panasonicは、表示値の25から40あたりの範囲内では、電力を1dB上げると 表示値が1つ上がります。40以上は一定間隔にならない傾向があります。 一方、SHARPは、電力を1dB上げると表示が2つ下がります。また、表示値 の160〜65あたりまでの全域で一定間隔に変化します。 但し、機種によっては、Panasonicと同様に電力が1dB上がると表示も1つ 上がるも場合もあります。(一例=AQUOS LC-20AX) 減衰器(又はU/V分配器もしくは混合器のVHF側でも代用可能)を挿入して、 電波の強度を落としてみたときの表示の変化を確認してください。 他に、受信電界強度や受信信号強度RSSI(Received Signal Strength Indicator)値などといった同様の指標があります。 FEM情報表示(2) C/N値(CNR値、CN値) C/N値についても、メーカ毎に違いがあります。PanasonicのC/N値情報と SHARPのCN値については、以下のように類似します。 |低品質 ←──────────< 高品質 ─────────┼──────────────────── Pana C/N値情報| 17 18 19 20 21 22 23…28…40…50 SHARP CN値 (B) | 17 18 19 20 21 22 23…28…40…50 SHARP CN値 (A) | 13 13 13 14 14 15 16…17…20…30 無断転用禁止 PanasonicはC/N値をdB表示で表しています。SHARPの表示は2種類の表示 方法があり、SHARP(B)は、Panasonicと同様のdB表示となっています。 SHARP(A)は、地上デジタル放送が普及する以前の古い機種の表示であり、 現在のAQUOSでは使用されていません。実際のC/N値では無くCN値=14で、 20dB相当を表しています。 受信に必要な値 受信電力指標値(IF_AGC値)とC/N値(CN値)について、受信に必要な値は、 以下のようになります。なお、受信電力だけが条件を満足していても、 CN値が悪いと受信できません。 受信に必要な値(参考情報;受信状況や機種によって異なる) | 最小値 |安定受信|確認機種 ─────────┼────┼────┼──────────── Pana 受信電力指標| 25以上 | 30以上 |TU-MHD500 Pana C/N値情報| 18以上 | 20以上 | ─────────┼────┼────┼──────────── SHARP CN値 (B) | 18以上 | 20以上 |LC-20AX SHARP IF_AGC (A) |130未満 |120未満 |DV-HRD200,LC-32DS2 SHARP CN値 (B) | 18以上 | 20以上 |LC-20AX,LC-32DS2 SHARP CN値 (A) | 13以上 | 14以上 |DV-HRD200 SHARP IF_AGC (B) | 46以上 | 48以上 |LC-20AX 無断転用禁止 SHARP 液晶テレビ AQUOSのFEM表示※ ※機種によります 手順1:メニューから「本体設定」を選択する。 (又は「デジタル設定」「デジタルメニュー」「システム設定」) 2:「アンテナ設定」を選択する。 3:「信号テスト−地上D」を選択する。 4:希望のチャンネルを選択する。 5:レベルが表示された状態で[青][緑][終了]の順に押す (「ブリグリ終了」と覚える) 無断コピー禁止(リンクは可) SEQEN:同期確立までの成功シーケンスのレベル(通常=9)[?] RFAGC:過度な受信波に対する増幅レベル(電波が強いほど[低い])[?]※ 機種によっては受信電力レベル(電波が強いほど[高い]) IFAGC:通常の受信波の増幅レベル(電波が強いほど[低い])※ 機種によっては受信電力レベル(電波が強いほど[高い]) Freq :受信周波数→物理チャンネルとの関係は「資料編-チャンネル表」 Offset:受信機内部の周波数(局発)偏差の補正値 MODE :放送モード(通常は3、画質を下げて受信エリア拡大の場合は2) G :ガードインターバル(通常1/8) FFT :FFT解析窓の位置 CN :C/N指標、13以上で受信可能、14以上で安定受信※ 機種によっては、18以上で受信可能、20以上で安定受信 Layer:変調方式,畳込符号,I=2(ワンセグI=4or8),使用セグ数,BER,復調OK ※機種によります 無断コピー禁止(リンクは可) 表示例 SHARP(B) SHARP DV-HRD200 DV-HRD20 DV-HRD2 DV-HRD300 DV-HRD30 DV-HRD3 手順1:メインメニューから「各種設定」を選択する 2:「設置調整・アンテナ設定を選択する」 3:「周波数設定」を選択する 4:周波数を入力(00xxxMHz) 5:レベルが表示された状態で[青][緑][終了]の順に押す (「ブリグリ終了」と覚える) 無断コピー禁止(リンクは可) Panasonic DIGA VIERAのFEM表示 TU-MHD500 DMR-EX300 DMR-EX100 手順1:チャンネルを選局する 2:便利機能ボタンを押す 3:「アンテナレベル」を選択する 4:レベルが表示された状態で「左」ボタンを3秒間、押し続ける 同期情報 :地上デジタル波の信号を感知したら「同期」と表示 C/N値情報 :C/N値、18以上で受信可能、20以上が望ましい 受信電力指標:電波の強さを表示(電波が強くてもC/N値が悪いと受信不可) BER値情報 :ビット誤り率を表示(一般に 1e-4 以下で受信可能) エラーフリー:詳細不明(BERが十分に低い場合はFREEと表示) 無断コピー禁止(リンクは可) 受信例 SHARP(比較用) 以下に3種類の受信サンプルを示します。1つめはSHARPの通常表示(A) の受信成功例です。2つ目は、別の例外機種(B)で、同じ22dBのC/Nでの 表示例です。SHARP(A)ではCN=15と表示されるのに対し、SHARP(B)では、 CN=22と表示されています。 3つ目はCNが低くて受信ERRORが発生した場合の例です。ワンセグ用の QPSK信号の復調は成功していますが、テレビ用の16QAM信号は受信ERROR となっており、受信できないことを示しています。 なお、ワンセグ用の復調は成功していますが現行の地上デジタルチュー ナーやテレビ、レコーダーでは、ワンセグ受信には対応していませんの で視聴できません。(ワンセグに関する情報=「方式編-ワンセグ」) 1.SHARP(A) CN=15(22dB相当,受信OK) 2.SHARP(B) CN=22(22dB相当,受信OK) 3.SHARP(B) CN=14(14dB相当,受信ERROR) CATVでの受信例 (追加:2008年05月) 以下にCATV受信の一例を示します。地上デジタルのパススルー放送は、 通常の地上波放送と同じパラメータで送信されていますが、CATV事業社 の自主放送は、13セグメント、畳み込み7/8のパラメータで送信されて います。(独自放送のほうが高画質に送信できます) CATV受信-パススルーの例 12セグメント、畳み込み3/4 CATV受信-自主放送の例 13セグメント、畳み込み7/8 日本アンテナ NL20(UHFチェッカー) 日本アンテナ製 UHFチェッカーNL20(製造中止品) UHF受信レベル測定用テスター「UHFチェッカー」が日本アンテナより 販売されています。現在は、BSの測定にも対応した後継機種のNL30となっ ています。 購入はこちらから:¥ 元々、アンテナの方向調整用として販売されているようです。これだけの 目的だと高価に感じます。ところが、下記の表とアッテネーター(減衰器) を併用することで、アンテナでの受信レベルやブースター出力レベル、又、 屋内ケーブル後での受信レベルの確認でケーブルの老朽化も確認きるので、 テスター感覚で1台は所有しておきたいアイテムです。
※ VOL最大,LED1,7波入力時は製品仕様(約45dBuV)より ※ その他は45dBuV入力時からの減衰量の差分を測定 ※ 推奨受信条件=50dBuV以上 (最小値46dBuV以上) ※ 上記の値は目安であり、測定値は保証されません アッテネータは20dBのものを3個程度もっておけば、概ね測定できます。 できれば10dB、6dB、3dBを1個づつもっておくと、詳しく測定できます。 アッテネータを下図のように接続して、LEDランプが1個〜4個の間で 点灯するような組合せを探します。見つかったら上表の読み値に減衰量を 加算した値が測定結果です。 ┏━━━━┓ ┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━┓ 信号→┃ケーブル┃→┃アッテネータ┃→┃UHFチェッカー┃ ┗━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛ 方向性結合器との組合せで進行波と反射波のレベルを比較することも出来 ると考えており、VSWR計としての利用方法を、検証中です。 参考=方向性結合器の製作方法:「対策編-分配器」 ※ 日本アンテナ製 NL20およびNL30Sは、もともと受信レベルの絶対値を 測定する目的で販売されている製品ではありませんので、当サイトに 掲載された情報は自己責任にて御利用ください。 USBワンセグチューナーによる確認 USB接続のワンセグチューナー(但しF型コネクタ搭載品に限る)を使用 しても簡易な測定が可能です。 BUFFALO DH-KONE/U2V (詳しくは「方式編-ワンセグ」) 予め、受信したいテレビの受信感度と測定に使用するUSBチューナーの 受信感度とを調べておき、アッテネータが下記の条件の時にワンセグ放送 を受信できれば、テレビでも受信可能であると判断できます。 アッテネータ値 > テレビ感度 − ワンセグ感度 − 10.8 [dB] 例として、BUFFALO DH-KONE/U2V(受信感度-107dBm)と、AQUOS LC-32DS3 (受信感度-88dBm)を使用した場合は、8dB以上のアッテネータを入れた 状態で受信できれば、同じチャンネルを12セグメントで受信することが 出来ると判断できます。 ┏━━━━┓ ┏━━━━━━┓ ┏━━━━━━━━┓ 信号→┃ケーブル┃→┃アッテネータ┃→┃USBチューナー┃ ┗━━━━┛ ┗━━━━━━┛ ┗━━━━━━━━┛ この測定のメリットは、8dB未満のアッテネータでワンセグを受信した 場合に、あと何dB改善すれば12セグメントでも受信できるかを、予測 出来ることです。例えば3dBのアッテネータでワンセグを受信できても テレビでは5dB不足していて受信できないことが分かります。 各チャンネル毎に測定できることもUHFチェッカーに無い利点です。 詳細な説明は別文書「USBワンセグチューナを用いた受信品質測定」を ダウンロードして、確認してください。 また、PC側ソフトに受信強度を示すアンテナバーが表示されますので、 こちらも、受信強度が低くて不安定な場合に指標になります。
バッテリ駆動対応の液晶テレビ(追加:2011年5月) Panasonicからバッテリ駆動の液晶テレビが登場しています。このテレビ はFEM表示に対応しています。しかもバッテリ駆動にも対応しているので アンテナの調整など屋外で使用する際に便利です。 (機種によってはバッテリ別売りです。) Panasonic ポータブル地上デジタルテレビ 簡易スペアナ (追加:2008年07月) 簡易スペクトラムアナライザのGigaStは、横軸に周波数を、縦軸に振幅を 表示することが出来る測定器です。本機は、測定周波数と同期して信号を 発生できるトラッキングジェネレータ(TG)を搭載しているので、フィルタ やアンプ等の特性を測定することも可能です。 簡易スペアナ GigaSt V5 の製作例 (写真の左側のブロックがトラッキングジェネレータ、右側がスペアナ) 簡易スペアナ GigaSt V5 の測定結果例 (地上デジタル放送波) 簡易オシロスコープ (追加:2010年10月) 秋月で売られているJYE TECH製の簡易オシロスコープキットも何かと便利 です。最大2Msps、分解能8ビット、入力1現象の低スペックではあります がオシロスコープとしての基本機能である振幅切り替え、掃引速度変更、 内部・外部のトリガ機能、トリガレベル調整、ホールド表示、画面保存に 加え、PC転送機能やFFT、テスト信号出力、周波数カウンタといった 機能も装備されています。 何より、11cm×6.5cmのコンパクトサイズでテスター感覚で使える点は 通常のオシロスコープには無い便利さです。電源は9VのACアダプタを使用 するようになっています。150mAほど流れるので9Vの電池で動作させたい 場合は液晶のバックライトを消灯(R23を外す)かニッケル水素などの充電 式を用いるのが良いでしょう。 秋月電子通商 簡易LCDオシロスコープ JYE TECH製 FFT機能とはオシロスコープをスペアナのように使用する機能です。 オシロスコープで取り込んだ波形を高速フーリエ変換FFTを行うことで 周波数領域に変換して表示しています。FFTは地上デジタルのOFDM 復調にも用いられています。(このオシロで復調することは出来ません) 下図はFFT機能の動作の様子です1kHz/DIVで10kHzまでを表示していま すが最大1MHzまでの表示が可能です。 高速フーリエ変換FFT機能(1.2kHz方形波の解析) さらに複数台の簡易オシロを用いて、トリガ信号をカスケード接続するこ とで2現象以上の波形を観測することも可能です。 トリガのカスケード接続機能 スクリーンショットは6枚まで保存できる他、パソコンに転送することも 可能です。パソコンとRS-232Cで接続する場合はMAX232Aなどのレベル変換 ICが、USBで接続する場合はFT232RLなどの変換ICが必要です。 スクリーンショットの例 購入の仕方 ここで紹介している秋月電子のオシロとは中国JYE TECH社が製造している 062シリーズと呼ばれるオシロで、2010年10月の時点で以下の5種類が製造 されています。このうち秋月電子で取り扱っているのは2種類です。
秋月電子の他にも千石電商などでも売られています。また、中国の製造元で ある JYE Tech Ltd.から電子メールで注文して直接輸入することも出来ます。 さらに、ヤフーオークションを利用して安価に購入できる場合もあります。 外部トリガーの使い方 メイン基板下方のJ5の4番ピンと12番ピンをジャンパー線で接続し、また、 R31に1kΩの抵抗が実装されていることを確認します。 これで基板上部(液晶面から見たときに左上)にあるテスト信号出力用端子 「500Hz/5Vpp」から外部トリガを入力することができるようになります。 トリガモードは「LEVEL」キーを押すたびに変わります。通常は「i」が表示 されていて内部トリガになっています。「LEVEL」キーを、数度押して「e」 表示にして外部トリガに変更します。 また、「LEVEL」キーで「o」表示を選択すると内部トリガ信号をテスト信号 出力用端子から取り出し、他のオシロと同期することが出来ます。 これら「e」および「o」モードでは、テスト信号出力用端子はトリガの入力 もしくは出力に設定されるので、テスト信号500Hzは出力されません。
FFTモードへの移行方法 「MODE」キーの長押しでFFTモードへ移行します。しかし、そのためには ファームウェアのバージョンアップが必要な場合があります。 秋月のサイトのQ&Aでは2010年10月17日に「対応した書き込み機が必要」 とあります。対応した書き込み機とは、大きく2種類があり、一つ目はマイ コン用の書き込み機のことですが、もう一つは、パソコンへの波形転送で使 用するシリアル信号の変換器のことです。 シリアルで書き込む場合は下記のサイトの下の方に「Resources」の項目に 「bootloaderを使ったパソコン用の転送ソフト」があります。 書き込みソフト: http://www.jyetech.com/Products/LcdScope/eDSO062.php PC program for downloading codes via the bootloader また、ファームウェアは下記にあります。まずは、113-06201-101を試すの が良いでしょう。 bootloaderを使った書き込み時はACアダプタを使用するなど、書き込み中に 中断が発生しないように注意してください。 ファームウェア: http://www.jyetech.com/Products/LcdScope/eScopeFirmware.php 113-06201-101 [ 2010.04.23 ] なお、シリアルを用いた書き込み方法はオシロのマイコンに書かれたブート ローダーと呼ばれるソフトウェアで実行しています。もしブートローダーを 誤って消失してしまった場合や新品のマイコンに交換した場合は、この方法 では書き込めません。また、比較的、新しいセットの中にはbootloaderが搭 載されていないものがあるようです。とはいえ、上記のファームよりも古い バージョン(FFTの無いバージョン)には、bootloaderが書かれていますの で、問題は無いでしょう。 関連ページ 資料編 - 受信感度比較 チューナの受信感度の測定方法 設計編 - チューナの受信特性 所要CNR 設計編 - アンテナ測定 アンテナ利得の測定方法 設計編 - 自作アンテナ 八木アンテナの設計方法 設計編 - 自作部品 減衰器の設計方法 資料編 - 受信チューナー 地上デジタルチューナ機器 資料編 - 新製品情報 地上デジタル受信関連の新製品 地デジTopへ戻る |