八百長問題で日本相撲協会を解雇された元幕内蒼国来の恩和図布新(おんわとうふしん)氏(27)=中国出身=が力士としての地位保全と給与支払いを求めた仮処分申請は9日、協会が幕内力士の月給に当たる約130万円を1年間仮払いする内容で東京地裁で和解した。請求の適否自体は、元力士側が来週にも起こす本訴で争われる。
記者会見した恩和図布新氏は「早く結果が出て感謝している。あくまで相撲に戻ることが目的なので、本訴で八百長をしていないと理解してくれれば土俵に戻るつもりだ」と述べた。
日本相撲協会は「仮処分手続きで仮の判断を受けるより、本訴における厳格な手続きの下で『故意による無気力相撲』の存在を明確にする方が望ましいと判断した」とコメント。元力士側の小松初男弁護士は「金額は請求通りで、潔白の主張を理解していただけたと思っている」と話した。
恩和図布新氏は、特別調査委員会から八百長関与を認定され協会から引退勧告を受けたが、「やっていない」と拒否。4月14日に解雇処分となり、同22日に仮処分を申し立てていた。