東日本大震災で被害を受けた釜石市は、敷地内に介護や子育て拠点を併設し、高齢者の孤立防止や地域交流につなげる「コミュニティーケア型仮設住宅」の建設を計画している。東京大学・高齢社会総合研究機構の提案を踏まえた。早ければ6月末に入居が始まる見通し。【宮崎隆】
同機構の後藤純特任研究員によると、「コミュニティーケア型」では、住宅100戸に1カ所の割合で、介護の必要な高齢者用のデイサービスセンターや託児機能があるサポートセンターを置く。移動手段のない高齢者や身体に不自由がある人の利便性を確保するため、敷地内には仮設商店も併設。被災者自身にヘルパーや保育士として働いてもらい、雇用確保や人材育成にもつなげたい考えだ。
また、仮設住宅で高齢者の孤独死が相次いだ阪神大震災の教訓を生かし、住宅の玄関を向き合うように配置。広場のような場所も確保し、入居者同士が顔を合わせやすい環境をつくる。
住宅間の通路は歩きやすいよう板張りにし、玄関にスロープを設けるなど、バリアフリーにも気を配る。後藤研究員は「地域の人々のつながりや災害弱者のために設計した。他地域のモデルになってほしい」と意気込む。
市内の平田公園で今月中に着工予定の約240戸のうち、3分の1がコミュニティーケア型になるという。市都市計画課は「仮設住宅の暮らしは長期化が見込まれる。入居者の健康が保たれる環境づくりが欠かせない」と期待する。
毎日新聞 2011年5月24日 地方版