東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

福島第一 汚染汚泥、濃度100倍

2011年6月10日 朝刊

水浄化後短時間で健康に影響

 福島第一原発の事故で東京電力は九日、高濃度の放射能汚染水を浄化するシステムの処理で発生する汚泥が、汚染水の百倍程度の放射性物質を含む濃度になると明らかにした。短時間で健康に影響するレベルで、当面は発電所敷地内で保管する方針。保管や最終処分の方法に法的規制はなく、経済産業省原子力安全・保安院が不備を認めている。

 汚染水は原子炉の冷却水が漏れだしたもので、タービン建屋地下などに十万トン余りがたまっている。今後も約十万トンが発生する見込みで、十五日から浄化システムを稼働する予定。十日に運転試験を始める。

 浄化システムでは、汚染水に薬剤を注入して放射性物質を分離、沈殿させる。汚染水の放射性物質の濃度を千分の一から一万分の一に減らすが残った汚泥に極めて高い放射能が集中することになる。

 汚染水の水面近くでは毎時一〇〇〇ミリシーベルト以上の線量が確認されている。白血球減少などの急性障害を引き起こす水準。汚泥はさらに強い放射線を放出するとみられ、全身被ばくで死に至る七〇〇〇ミリシーベルト以上の放射線を一時間で発する可能性もある。

 汚染水二十五万トンの処理で汚泥二千立方メートルが発生する見込み。東電は当面、汚泥を建屋内の廃棄物用のタンクに保管。満杯になった後は、十二月中に完成予定の地下タンクも使う。ポンプなどを使い、人が近寄らずに移送する。

 保安院によると、原子炉等規制法で処理の手順を定めている高レベルの廃棄物は使用済み核燃料のみ。今回のような汚泥は発生を想定していなかった。西山英彦審議官は「技術的にも処理方法が確立していない。どう安全を確保するか検討する」と対応が後手に回っていることを認めた。

 

この記事を印刷する

PR情報





おすすめサイト

ads by adingo