ロコモーション (2011.06.09)
 1975年6月9日(27時。10日午前3時)、ラジオ関東で『ゴー・ゴー・ナイアガラ』の第一回目が放送されました。当時、fussaスタジオの音楽用機材はレンタルでしたが、ラジオ放送の方はFM東海のターンテーブルを入手出来たりと、音楽作りよりも先に設備が整いました。この事実は、福生スタジオでの制作は実はラジオがメインで、音楽作りの方が“副次的”なものであったという証拠なのかもしれません。(笑)『NIAGARA VOX(CD BOOK)』はFUSSA45STUIDOでの“音楽作り”の集大成ですが、一方の“ラジオ番組作り”も私の活動の両輪でありました。

 その記念すべき第一回目の特集は“キャロル・キング(Goffin-King)”。私の原点はエルヴィスですが、POPSの原点は『ロコモーション』でした。



 これは、数ある中からこれを選んだ、というのではなく、私がその時代に産まれて、たまたまその曲に巡り会ったという“体験的原点”です。(私が何かについて語る場合は、批評でも評論でもなく《体験》で、“体”が経験したこと、です)

 この出だしのメロディーは、この曲に似ています。



 メリー・ウエルズの『The One Who Really Loves You』ですが(スモーキーっぽいメロディーですネ!)ビルボードを見ると、こちらが『ロコモーション』よりも三ヶ月ばかり早くにチャート・インされています(62.3)。たまたま当時ヒットしていたのでキング姐さんからポロリと出たものでしょう。元々『ロコモーション』はディー・ディー・シャープの大ヒット『マッシュ・ポテト・タイム』の第二弾として作られたものとのことでした。



 メロ譜に起こした場合に類似点は少ないのですが、『ロコモーション』は間違いなくコチラを下敷きに書かれています。

 『ロコモーション』の出だしの、

 「Everybody's doin' a brand-new dance

 このメロディーが植木さんの『ハイそれまでヨ』の、

 「三日とあけずに キャバレーへ

 ではないか!というのは亀渕昭信さんの発見です!ナルホド、確かに似てはいます。植木さんの発売は 62.07.20 ですからあり得る話ですが、『ロコモーション』がビルボードでチャート・インしたのが 62.06.30、もしそうだとしたらもの凄いスピードでの取り入れということになります。(当時、洋楽は三ヶ月後ぐらいに発売されるのが通例でしたし、プレスを急がせても一週間はかかりますから、FENを聞いていたとしても超速ですね)

 以前、萩原哲晶さんにインタビューした際、『あれは出だしが“フランク”ですね。途中からテンポを変えるとなると当時は“ツイスト”しかないわけですよ!』と語っておられました。プロの場合、“フランク!”とか“ツイスト!”とか、大まかな捉え方をするんですね。習字のように一字一句一画を真似するというようなことはありません。スモーキー・ロビンソンからキャロル・キングへ、そしてそれが萩原哲晶へと“流れ行った”わけです。(“流行”です)

 蛇足ながら、『ロコモーション』を“ツイスト”と表現するのは間違いではありません。ディー・ディー・シャープのデビュー曲はチャビー・チェッカーとの『Slow Twistin'』でした。

 スネア・ドラムの印象的なイントロはGary Chesterで間違いないでしょう。私は自分のソロ・シングルを発表する際、この『ロコモーション』のスネア・イントロを使いました。自分のPOPSの原点として、ついでにジャケットもリトル・エバのパロディーにしたのでした。




 右の写真は1971年10月19日、青梅の鉄道公園にて“おおくぼひさこ”さんに撮って頂いたものです。(仲井戸麗市さんの奥さんであることを、つい最近知りました)

 私が乗った(許諾は取ったと記憶しています)機関車は、現在でも青梅鉄道公園にあります。当時は雨ざらしでしたが、再塗装されて綺麗になっていました。(ここの園長には昨年“のらちゃん”が就任されました)




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